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亜鉛不足がヒトの消化機能に影響を与える!


ドイツの研究チームは、軽度な亜鉛欠乏でも、皮膚症状や疲労などの自覚できる症状がないレベルでも、消化機能には悪影響を及ぼすかもしれない、という研究結果を発表しました。


写真:ptbed.org

そもそも亜鉛は、必須微量元素(ミネラル)のひとつで、人や家畜の生命機能の維持になくてはならない存在です。今回の調査結果により、研究チームでは、短期でも亜鉛不足にならないように気を付ける必要があるだろうとコメントしています。しかし、これまでの研究では、臨床レベルの亜鉛欠乏症を正常レベルの動物と比較するのが一般的だったのですが、現実には臨床レベルの亜鉛欠乏症は人でも動物でもめったに起きないそうです。そこで、研究チームはより軽度の亜鉛欠乏状態に着目することにしました。point 295 | 1

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写真:wall.kabegami.com

本実験は、離乳したばかりの48匹の子豚を用いて行われました。子豚の場合、亜鉛欠乏食で飼育されると、約10日で臨床レベルの欠乏症が現れることから、研究チームは8日目までの消化器機能の変化に焦点を当てることにしました。亜鉛欠乏の症状は、外見からはわからなくとも速やかにはじまり、それは肝臓や血液を調べることでわかるといいます。研究チームは、子豚をグループに分け、各々に亜鉛含量の異なる食事を8日間与えて軽微な欠乏状態を作り出すことにしました。その結果、エサに含まれる亜鉛量の低下に応じて、子豚の身体はより効率的に亜鉛を吸収するように変化し、同時にすい臓からの亜鉛の分泌量が低下したそうです。その後、すい臓から分泌されるトリプシンやキモトリプシンといった種々の消化酵素の活性も低下したことが明らかになり、糞便の分析からは、実際に消化機能が低下し未消化な便が増加したことも確認できたそうです。point 462 | 1

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写真:sk-imedia.com

これらの調査結果により、研究チームは、「亜鉛欠乏症の動物では食欲の低下が観察されます。この理由について色々な仮説が提出されてきました。例えば迷走神経に直接影響する、というのもそのひとつです。でも実際の原因は意外と単純かもしれません。つまり亜鉛欠乏によって消化速度が落ちて胃腸に食べ物が溜まり、空腹感が低下するというだけかもしれないのです」と語っています。また、すい臓は食物の消化とエネルギーの恒常性維持に中心的な役割を担っている臓器であり、亜鉛維持のために消化管へ亜鉛を送り出しますが、体内が亜鉛不足になると、すい臓からの亜鉛の分泌は最小になるため、以上のことから研究チームは、これが消化機能に影響するのではないかと考えたのが研究のきっかけになったそうです。point 395 | 1

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写真:www.worldfolksong.com

消化機能の大切さは人でも家畜でも同じであり、離乳開始直後の数週間が特に重要です。以上の実験により、すい臓中の消化酵素の量(活性)と体内の亜鉛蓄積量の間には直接的な関係があることを証明することができたのではないでしょうか?少しでも亜鉛欠乏にならないように気を付けるべきだということが分かりましたね。

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