糸井嘉男選手は阪神タイガース所属の外野手です。もともとは日本ハムファイターズに投手として入団し、最速150km/hを上回る直球を武器に飛躍を望んでいましたが、投手としては二軍でもなかなか結果が出せず持ち前の身体能力を買われて外野手へと転向しました。以来、2016年シーズンまでに首位打者、盗塁王の獲得やベストナイン、ゴールデングラブを複数回受賞しており、走攻守の三拍子揃った日本を代表する外野手として活躍しています。少し拍子抜けした反応を見せることでも知られており、ファンの間では超人的な選手であると同時に「宇宙人」という異名でも親しまれています。
写真：number.bunshun.jp
2016年シーズンまで所属していたオリックスバファローズからFA宣言をした糸井選手は、次の活躍の場を阪神タイガースに求めました。阪神タイガースは金本知憲監督の元でチーム再建を目論んでおり、その目玉として監督直々にラブコールを贈られ移籍を決めたといいます。また、膝に不安のある糸井選手は一番試合数の多いホーム球場が人工芝であることがプレーに少なからず影響しているようで、天然芝を外野に採用している球団を希望したとも報道されています。point 291 | 1
糸井選手は阪神タイガース入団以来、福留孝介選手、高山俊選手、中谷将大選手、俊介選手らと外野のトリオを組むことが多く、これらの強打の選手の中でも特に打力を買われ、開幕は3番を担いました。全体的に若く安定より勢いが目に付くチームにおいて、百戦錬磨の糸井選手の存在感は抜群です。シーズンを通して1番、4番にも経験を活かしてどっしりと座り、今シーズンは重要な打順での糸を引くような打球が冴えわたりました。前述の通り膝に不安を抱えていることもあり、数年前に比べて果敢な盗塁は減少し、広いセンターを守ることも少なくなりましたが、その強肩は健在でライトの深い位置からレーザービームのような送球を繰り出し、数多の走者をアウトにしています。point 385 | 1
写真：ochamehack.com
移籍一年目だった糸井選手ですが、故障のために春季キャンプを一人の別メニューから始めた、という不安いっぱいの船出から2017年シーズンを踏み出しました。途中、右脇腹を痛めるなど鉄人ながら年齢相応に故障と戦った一年であったと言えるでしょう。しかし、それを忘れされる大活躍で阪神タイガースというチームにもすっかりなじんだようです。
写真：m.hanshintigers.jp
そんな糸井選手は既に2017年シーズンを走り終えた時点で37歳を迎えています。そして糸井選手は北海道日本ハムファイターズ時代にポスティングシステムを利用したメジャー移籍を求めて球団と紛糾した過去のある選手であることは良く知られています。そもそも、大学を卒業して入団した後に投手から外野手に転向している、という遅咲き選手である事情もあり海外FA権を取得するころには引退間際である、という焦りもあったのでしょう。メジャーに挑戦したい、という思いはかつては懐いていたようです。しかし、故障を抱えながらプレーしている現状、メジャー移籍は現実的ではないと言えます。日本人野手のメジャーリーグでの評判があまり高くないことがそもそも背景としてあるために、そこに故障のリスクと37歳と比較的高齢というディスアドバンテージがあるということで、いくら希望しても獲得してくれる球団はなかなかない、と言うのが実情です。point 474 | 1
写真：column.sp.baseball.findfriends.jp
本音を言えばメジャーに行ってみたいけれど、まずは次の1シーズンを元気で野球をして過ごすことが大事、というのが糸井選手の心中ではないでしょうか。打率.290、17本塁打はトップ選手のそれとは言い難いです。さすがの超人であっても衰えは隠せませんが、ここでもう一花咲かせるためひと踏ん張りして欲しいものです。