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【予想外の結果】遺伝子組み換えされた蚊を野生に放ち撲滅する実験が失敗


蚊は刺されるとかゆみが出てうっとうしいだけではなく、デング熱・ジカ熱・マラリアといった伝染病を媒介することでも人々を悩ませています。そんな伝染病を媒介する蚊を撲滅するため、遺伝子を操作して生まれた子孫が死ぬようにした蚊を野生に放ち、蚊の個体数を減少させる実験がブラジルで行われていましたが、残念ながら実験は失敗したと報告されました。

蚊の脅威を無くすため

地球温暖化に伴い、さまざまな病気を媒介するネッタイシマカなどの危険な蚊の生息範囲は広がっています。『人間を最も多く殺している生き物』ともいわれる蚊は人間にとっての脅威であり、研究者らは蚊による伝染病媒介を防ごうとさまざまな研究を行っています。

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Wikipedia

蚊の個体数を減らす一つの解決策として考えられているのが、『子孫が死ぬ遺伝子を組み込んだ蚊を野生に放つ』というもの。イギリスのOxitec社が開発した遺伝子組み換えされたオスの蚊がメスと交尾すると、子孫が体内に蓄積された特定の酵素の働きによって成長できず、繁殖する前に死んでしまうという性質を与えられています。この遺伝子組み換えされた蚊を野生に放つことにより、個体数を減少させることができるとのこと。point 258 | 1

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グノシー

遺伝子組み換えされた蚊を野生に放つという方法については、安全性についての議論が巻き起こっているほか、人間の手で特定の生物を撲滅することに対する警鐘も鳴らされています。しかし、すでに遺伝子組み換えされた蚊を野生に放つ実験はいくつかの地域でスタートしています。

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グノシー

遺伝子組み換えされた蚊を放つ大規模な実験が行われているブラジルのジャコビナでは、イェール大学の研究者が蚊の個体数などについての継続的な調査を行っています。実験では1週間ごとに45万匹もの遺伝子組み換えされた蚊が放たれたそうで、蚊の放出は27カ月間にわたって行われました。合計で数千万匹の遺伝子組換えされた蚊が野生に放たれたことになります。point 223 | 1

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日経サイエンス

研究チームが蚊の個体数を調査した結果、当初は蚊の個体数減少が確認されたそうですが、およそ18カ月後には個体数が回復し始めたとのこと。研究チームはこの結果について、野生のメスが遺伝子組み換えされたオスとの交尾を避けるようになった可能性を指摘しています。しかし、テストの終盤で野生の蚊を捕獲して遺伝子を分析したところ、遺伝子組み換えされた蚊の遺伝子を受け継いだ個体が確認されたのです。point 247 | 1

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予想外の結果

論文の主著者であるJeffrey Powell教授は、「当初の主張では、遺伝子組み換えされた蚊の子孫は死んでしまうため、その遺伝子は野生の蚊と混ざらないとされていました」「しかし、実際に起きたことは違いました」と述べています。遺伝子組み換えされた蚊の子孫が生まれる確率は3~4%ほどだそうで、生まれた子孫も成長して繁殖する前に死ぬとみられていましたが、実際には一定数の子孫が誕生していた模様。point 201 | 1

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カラパイア

さらに、遺伝子組み換えされた蚊は実験が行われたブラジルの系統ではなく、キューバやメキシコの系統を持つネッタイシマカだったとのこと。複数の系統や人為的な遺伝子組み換えを受け継いだ新しい蚊のグループは最悪の場合、従来の蚊よりも強い抵抗力を持つ可能性があります。研究チームは新しい亜種が従来の蚊より危険ではないと考えていますが、Powell氏は「予期しない結果が懸念されます」と述べました。point 247 | 1

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