キスをする時に目を閉じる理由が科学的に明らかになった。英国ロンドンロイヤル・ホロウェイ大学の心理学研究チームは、キスにより集中するために目を閉じるという研究結果を発表した。この内容はメディカルデイリーが報道した。
まず研究チームは、人間がキスする時の視覚と触覚の関係に注目した。そこで16人の志願者に、文字を見つける「文字探しテスト」を実施し、触覚への反応も測定するため、片方の手には小さな振動装置を取りつけたという。そして振動を与えながら集中するレベルを比較した。その結果、視覚に集中している時ほど、触覚に対する反応が鈍くなった。つまり、目から得た情報の処理に集中すればするほど、同時に触覚に集中することが難しくなることを示している。これにより、キスする時に無意識のうちに目を閉じてしまう(視覚情報を遮断する)のは、私たちが視覚よりも触覚で相手を認知しようとするためだった。
研究を率いたポリダルトン博士は「人は他の感覚に集中したいとき、自然に目を閉じて視覚的に入力を防ぐ」といい、「これはダンスをしたり点字本を見たときに目を閉じて、聴覚と触覚により集中するのと同じ原理だ」と説明を付け加えた。
研究結果は実験心理学(Experimental Psychology) ジャーナル最新号に掲載された。
一方、特定の感覚を遮断した時、他の感覚がより敏感になるという研究はこれだけではない。米国ジョンズホプキンス大学とメリーランド大学の研究チームは、視覚障害が生じると聴覚がより活性化されるという研究結果を2014年、ニューロン(Neuron)ジャーナルに発表したことがある。また、聴覚が衰えると視覚が良くなるという内容が、ネイチャー神経科学(Nature Neuroscience)ジャーナルに紹介されたこともあった。