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マッサンブームで厳守不足!ニッカの「鶴」が販売終了した理由


庶民が好むお酒がビールや発泡酒に取って代わられてから、ウイスキーは長い低迷期に入っていました。そこにあのマッサンブームが起き、ニッカをはじめとするウイスキーブームがはじまりました。売り上げが伸びたのは良いことでしょうが、おかげでウイスキーの原酒が足りなくなってしまうという危機になってしまいます。

 


写真:officiallyjd.com

もともとウイスキーは1980年代よりずっと消費量が下降気味になってきていたため、おそらく原酒の仕込みをあまり多くやっていなかったのでしょう。若者もウイスキーよりチューハイなどの甘い飲み物を好むようになっていっていたので、まさかここまで人気が盛り上がるとは当時のニッカには予想できなかったのも仕方ありません。2000年代にハイボールが流行しはじめたのもあり徐々に原酒は足りなくなってきている傾向にあったのですが、マッサンのおかげで対応しきれないほどの人気が出たため仕方なくニッカはニッカの象徴ともいえる「鶴」の販売を終了することにし、主力ブランドに製造を集中させることで原酒がまた揃うまで耐え忍ぶことにしたのでしょう。point 383 | 1

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写真:matome.naver.jp

そもそもウイスキーは蒸留したものを木製の樽に入れた後、何年も熟成させるのが普通です。ビールなどの醸造酒と違いすぐにできるものではありません。需要が増えたから供給量を簡単に増やすことはできません。スコッチなどのウイスキーは3年以上熟成しなければ名乗ることが許されていないのですが、日本におけるウイスキーには特にそういった縛りはありません。ですので近年はノンエイジウイスキーといって何年熟成させたか公表していないウイスキーも出てきています。原酒不足を解消するためにまだあまり寝かせていない若い原酒を使っているのでしょう。point 332 | 1

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写真:auctions.yahoo.co.jp

しかし、「鶴」は15年から20年もの時間熟成させた原酒を使ったニッカのプライドともいえるウイスキーです。ニッカというブランドを守るためには「鶴」の販売を終了したのは賢明な判断だったと言わざるを得ません。ニッカのウイスキーにかけるこだわりが見えます。品質を落としてまで「鶴」を販売し続ける方がユーザーにとってはよくありません。

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写真:barrel365.com

ちなみに実は今現在も「鶴」という名称のウイスキーは余市蒸留所と宮城峡蒸留所の2ヶ所で限定販売されています。ですがそれは以前の「鶴」とは別物なんです。「鶴」が販売終了したのは2015年8月ですが、その翌年9月よりノンエイジウイスキーとして同じ名称で発売開始しました。マッサンを見てウイスキーに興味を持った新規客を逃がさないための措置でしょう。古くからの「鶴」を知っているベテランのニッカユーザーには寂しいことでしょうが、いずれ原酒が育ってきたら復刻版として復活するかもしれませんので、希望を捨てずに待っておくのもいいでしょう。point 334 | 1

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写真:business.nikkeibp.co.jp

一度ニッカの蒸留所に行ってウイスキーが熟成されていくのを見学してみるとわかりますが、蒸留したてのウイスキーは無色透明で、何年も経ってようやく私たちがよく目にするウイスキーの茶色になっていきます。ウイスキー造りは時間がかかるものです。今後ブームが落ち着いて、原酒不足が解消されればきっとまた、何年も熟成されたニッカのウイスキーが楽しめるようになるはずです。それにしてもマッサンの放送が終了したのは2015年3月です。その後もブームが続いているということはつまりそれだけニッカは時代にあった味を提供できているのでしょう。つまり、ニッカの「鶴」が販売終了したのは人気が無いからではなくむしろ人気が出過ぎて供給不足になったからということです。一時のウイスキー低迷期よりもずっと前向きな理由からですので、決して悪いことではありません。point 444 | 1

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