銭湯や温泉で子どもが異性の風呂に入れるのは何歳までなのか?というのは度々議論されている内容ですが、実際の規定は各自治体が条例で混浴できる上限年齢を定めていて、一定の年齢を超えると混浴はできないということになっています。しかしこれに対しては賛否両論の声があるようです。
混浴できないという規定に対し、「発達障害がある子供と一緒にお風呂に入れない」とコメントしたシングルマザーに対しては「家族風呂に入ればいい」という声が多く上がりましたが、実際に東京都内の貸切風呂や家族風呂は片手で数えるほどしかありません。この理由は、東京都の公衆浴場条例では10歳以上の男女の混浴は認められておらず、銭湯が貸切風呂や家族風呂を設置することはできないことになっています。23区や町田市や八王子市の条例もほぼ同じ内容となっており、都内での混浴は実質不可能となっています。
ただし、条例の細則では例外も認めており、介護などの特別な事情がある人の利用に限り、保健所が貸切風呂や家族風呂の設置を認めたケースも存在します。東京都あきる野市にある「秋川渓谷 瀬音の湯」は、2つの貸切風呂があり、都の条例に基づき、10歳以上の男女は混浴できませんが、高齢の夫婦など男女どちらかの介護が必要な場合は、介助する人がTシャツや短パンなど服を着て入浴することができるというサービスになっています。
また先程のように発達障害がある子供と親についても、東京都福祉保健局は、「発達障害の子どもがいるシングルマザー(ファザー)の場合も服を着ての利用ならば、混浴に当たらず、大丈夫です」と説明しています。
一方、ホテルや旅館などの宿泊施設では家族風呂、貸切風呂の設置が認められています。ホテルなどの宿泊施設に適用される東京都の旅館業法施行条例では、家族風呂や貸切風呂に関する一文は盛り込まれていないため、つまり「設置できる」ということになります。さらに細かく説明すれば、宿泊施設であっても大浴場は公衆浴場条例が適用されるため混浴できませんが、露天風呂付きの客室は、条例の適用外になり、混浴ができます。家族風呂、貸切風呂も同じ理由で、宿泊する人は利用できることになっています。
これに対し、家族風呂を増やすために規制を緩和してはという見方もあり、実際に温泉を県全体で売りにしている大分県などでも家族風呂の場合は混浴がOKとなっています(大分県公衆浴場法施行条例)。他にも混浴OKの地域はあり、東京の規制はこれらと比較すると比較的厳しいく規定されているといえます。
ただ、東京などの大都市圏は、無店舗型の風俗営業などに使われるケースも考えられため、風紀を考えての条例の厳しさとなっているようで、なかなか議論の難しい話題となっているようです。