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東芝大分工場の社員の命運を分けた「ソニー」「東芝」の2択問題


東芝といえば、日本の名門企業の代表格でした。
しかし不正経理問題を機に坂道を転げ落ちるように経営環境も悪化しており、優良事業であるメモリ部門の売却と、その売却代金を使った経営再建計画が進められています。
そんな中、経営危機を乗り切った「社員」もいます。「東芝大分工場の一部の社員」らは、ソニーへと転籍することになっており、結果的に経営危機という荒波を乗り切ったことになります。
ここでは、東芝大分工場の社員の命運を分けた問題に触れていきましょう。

写真:nikkan.co.jp

◼︎リストラされて得をした!?

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写真:mainichi.jp

2015年10月28日に市場を驚かすニュースが入ってきました。
それは、大分県にある東芝大分工場の一部設備とその他関連施設の一部をソニーへ譲渡するというものでした。
東芝大分工場は、グループのLSI事業の要である半導体製造設備を備えていますが、その中でCOMSイメージセンサー事業をソニーに譲渡すると発表したいのです。
COMSイメージセンサーとは、画像素子のことです。カメラと周辺回路も一体化しているため消費電力も少なく、小型化できるという特徴があり、デジタルカメラやスマホのカメラなどに利用されています。
しかし不正経理問題以降の経営悪化によって事業整理が求められたため、シェアが少なく不採算であったCOMS事業をリストラし、ソニーに譲渡することを決定しました。
本来ならリストラされるCOMS事業部の社員が落ち込むはずです!しかし今回ばかりは、立場が逆になったんです。
メモリ事業売却に手間取り、経営再建が足踏みしている東芝からPS4の大成功や半導体分野の躍進、赤字続きであったテレビ事業すら黒字転換させたソニーに譲渡されるのは、むしろ幸運というわけです。
また「リストラ」される社員らに退職金が支払われることも決まっています。勤続年数によりますが、40歳以上だと2000万円は固いとされているのです。
おまけにソニーという再就職先もあるわけですから、残された社員たちからすれば羨ましいという声が出ても当然ですよね。まさにソニーと東芝の間で命運が分かたれたのです。point 641 | 1

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写真:gigazine.net

◼︎COMSイメージセンサーの未来は実は明るい!

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写真:ja.wikipedia.org

東芝大分工場のソニー移籍組と残留組という命運を分けた二択の背景には、COMS事業の不採算性にありました。
しかしCOMS事業に未来はないのかというと、実は明るい未来が待っているんです。
例えば自動運転車、医療機器、監視カメラなどです。中でも自動運転車が話題ですよね。
すでに自動車の燃費向上や安全性に関わる電子部品が多数採用されており、もはや1990年代の自動差Yとは別物と言っても良いぐらいです。
特に自動運転車の目となるカメラにはCOMSイメージセンサーが欠かせません。例えば駐車する際にインフォメーションパネルに車両前後や左右の情報を表示するカメラにもCOMSセンサーが利用されています。
さらに万が一のトラブル時に映像を残すドライブレコーダー、前方車両との車間距離を自動的に維持したり、車線を検知してはみ出さないようにするのにもカメラが使用されます。またヘッドライトのハイビームを自動調整するためにカメラを利用することも増えており、COMSイメージセンサーの活躍する場は増えつつあるのです。
この他にも医療機器の胃カメラなどの検査機器、防犯カメラやゲーム機などに搭載されるため市場拡大が予想されています。
そんななか経営悪化した東芝は、不採算事業であることや市場シェア率が低いことを理由にCOMS事業をソニーに譲渡した事になります。point 582 | 1

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写真:oita-press.co.jp

◼︎まとめ

ソニーか東芝か、それが東芝大分工場社員の命運を分けました。
経営状態が悪化した東芝は、将来性はあるものの市場シェアが小さく不採算事業であるCOMS事業を切り離すことで経営への負担を減らしています。
ソニーへの転籍が決まった元社員らは、退職金とともに新たな再就職先を確保されましたが、一方の残留組は、経営危機が続くグループにとどまりました。
これから残留組や東芝はどうなるのでしょうか、ソニーのように華麗に復活することを期待したいですよね。point 290 | 1

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