19世紀後半から科学技術の発達に伴って探査機を飛ばしたり地上から高性能の望遠鏡で観測をすることで宇宙に関する多くの事実を知ることができました。それでも私たちの地球が属している太陽系の大きさ・構造や天の川銀河全体の形を直接観測して人類が知ったのはほんの数年前のことで、宇宙には人間が理解できない多くの謎が秘められています。観測技術が発達した現代でも判明していない宇宙についての謎をいくつかご紹介します。
宇宙に存在する暗黒物質と謎の電波
写真:暇つぶしニュース!
私たちの身の回りにはモノが溢れていますが、これらすべては原子から構成されています。人類がこれまで観測してきた質量を持つ物体は原子からできた物ばかりですが、原子は宇宙に存在する物体の5%程度に過ぎません。宇宙の中に存在する室用の95%は原子以外の物質から出来ていると考えられているのですが、それが何なのかは謎のままでダークマター(暗黒物質)と呼ばれています。暗黒物質は宇宙に存在する“モノ”の中で最もポピュラーな存在であるにもかかわらず、光や電波を一切発することがないので人間が直接観測することができません。
写真:nao. ac. jp
暗黒物質以外にも天文学者を悩ませている宇宙の謎があります。地球上に設置されている電波望遠鏡を利用すれば宇宙から飛んでくる電波をキャッチすることができます。近年は星間ガスが発する電波をキャッチすることで天の川銀河の綺麗な渦巻き模様の形を観測することに成功しています。電波望遠鏡で観測をしていると出所不明の謎の電波がキャッチされることがあります。謎の電波遠い銀河で起こる星の爆発に由来するのではないかと推測して「高速電波バースト」と呼んでいる学者もいますが、今でもこの電波の出所や原因については謎のままです。この謎の電波の出所について地球外生命体からのメッセージではないかと考えている人もいるほどです。
恐竜絶滅と太陽の姉妹星の謎
写真:こだわりアカデミー
地球から肉眼でも簡単に観測することができて私たちにとって身近な星には太陽や金星・木星などの太陽系に属する天体があります。ほんの少し前まで一般的に太陽系とは水星~冥王星までの範囲であると考えられていましたが、実際にはこれよりも遥かに大きな構造を持つことが最近になって判明しています。それでも太陽系近傍の天体についてはまだ多くの謎があります。太陽系の外縁部にはオールトの雲と呼ばれる小型の天体に囲まれていて、これらの一部が彗星として地球や太陽の近くに飛んで来ると考えられています。地質学的な調査によると約2600万年周期で地球に大量の巨大隕石や彗星が衝突して生物の大量絶滅が発生していることが分かっていますが、周期的に彗星や小惑星が地球に飛来するのかは不明です。
写真:隼エンターテイメント – FC2
この謎を解く仮説として太陽と一緒に誕生した双子の姉妹星が存在して太陽を周回しており、周期的にオールトの雲に作用することで軌道を外れた天体が地球周辺に飛来するのではないかと考える学者がいます。一般的に恒星が形成される時には必ず1~2個の姉妹星が一緒に誕生するため、太陽にも双子の星が存在したとしても不思議ではありません。現在のところ太陽の姉妹星について観測されてはいませんが、仮想上のネメシスと呼ばれる恒星(赤色矮星または褐色矮星)が太陽から5万~10万天文単位離れた場所を周回していると主張する天文学者がいます。もしもネメシスが実在していたとしても光を発していなければ人間が直接観測することはできません。
まとめ
写真:都市伝説
観測技術が発達した現代においても人類が宇宙に関して知っていることはほんの僅かで、まだまだ判明していない事がたくさんあります。今後も宇宙を直接観測したり計算機上でシミュレーション実験を行うことで少しずつ宇宙についての謎が解明されるかもしれませんが、疑問点が解明されたら更に多くの謎が新たに生じる可能性があります。宇宙の謎について気になり出すとキリがないのですが、そのおかげで人間は宇宙について深く探究し続けることにより常に新たな発見や感動を得ることができるのです。