高い山といえば多くの方が日本一高い山の富士山や世界一高い山としてエベレスト(チョモランマ)を思い浮かべることでしょう。逆に日本一低い山と聞かれて正確に答えることができる方はほとんどいないかもしれません。当然のことながら日本一高い山もあれば日本一低い山も存在しますし、国土地理院が発行する地図にもちゃんと記載されています。日本一高い山は富士山だけですが日本一低い山と言われている山についてはいくつか存在していて、いくつかの県で競い合っています。日本一低いとされている山にいくつかご紹介します。
日本で一番標高(海抜)が低い山とは
写真:ふるさとの富士
どのような基準で山とみなすかは人によって違いますが、一般的には建物以外で周囲の地面よりも高い土や石などでできた自然の地形または人工物が“山”と呼ばれています。日本一標高が低い山を日本一低い山とみなすのであれば、日本で一番低い山は秋田県南秋田郡大潟村にある「大潟富士」で標高(海抜)は0mです。地名に“潟”が付いていることから分かるようにこの辺は湖を干拓して造成された土地なので周囲の海抜はマイナスとなります。この大潟富士は人工の築山で富士山と同じ円錐形をしており、山の頂上が海面と同じ高さである海抜0mになるように造成されています。周囲の地面からの高さは3.
337mでちょうど富士山の1/1000のミニチュア模型になるように造られていて、階段が設置されているので誰でも自由に登ることができます。
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この辺りは湖の底だったので軟弱な地盤で土を盛り上げてもすぐに崩れてしまうため、土台の部分に発泡スチロールが使われています。発泡スチロールと土で制作された大潟富士のすぐ隣には「日本一低い山」の立て看板が設置されていて観光スポットになっています。ちなみに大潟富士も一応山の形をしているのですが1992年に観光スポットとして造られてから現在に至るまで国土地理院の地図には掲載してもらえないため、残念ながら日本国政府に認められた正式な山ではありません。
国土地理院の地図に掲載されている日本一低い山の競い合いとは
写真:portal.nifty.com
国土地理院の地図に掲載されている正式な山で日本一低い山は少なくとも2つ存在します。標高が低い山は宮城県仙台市宮城野区にある標高3mの「日和山」です。2011年3月11日に発生した東日本大震災の際の津波の被害を受ける前は日和山の標高は6mと5cmで国土地理院の地図に掲載されている日本一低い山でしたが、1996年に標高4.
53mの天保山が地図に掲載されたことで日本一低い山の地位を譲ることになりました。元々日和山の近くに「日本一低い山」の案内看板がありましたが天保山に抜かれてしまったので頭に「元祖」が書き加えられていました。ところが東日本大震災の津波の被害を受けて山が削られて消滅してしまいましたが、2014年に3mほど土を盛り上げて復旧したので18年ぶりに標高3mの日本一低い山として復活しました。ちなみに大阪市のホームページには天保山が日本一低い山として掲載されているため、現在に至るまで大阪市と仙台市の間で日本一低い山を巡る争いが続いています。
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天保山も日和山も人工の築山ですが、自然にできた山で日本で一番低いのは徳島県徳島県徳島市方上町にある弁天山(標高6.1m)で、すぐ隣に「日本一」の立て看板が設置されていて徳島市のホームページにしっかりと掲載されています。弁天山も登山道が整備されているので頂上まで登ることが可能で、希望すれば登頂証明書を発行してもらえます。
まとめ
写真:デイリーポータル – nifty
標高(海抜)以外にも“一等三角点が設置されている低い山(蘇鉄山)”とか“世界一低い火山(笠山)”なども存在しており、現在に至るまで日本一低い山を巡って複数の自治体が競い合っている状態が続いています。どのような地形を山とみなすかは人それぞれですし低い山は自然災害や土地の造成などによって簡単に標高が変わってしまうことがあります。このため今後も日本一低い山を巡る自治体同士の競い合いが終結することはないでしょう。