「妻のコンタクトレンズが届かず、宅配業者に問い合わせたら『玄関に置いて帰った』と言われた」そう話すのは仙台市に在住の男性。しかし宅配便の受け取りにはサインが必要。では誰がサインをしたのだろうか?実はその荷物にサインをしたのは、荷物を届けた宅配員だったのです。
仙台市太白区の床井勝さん(54)がこの驚きの出来事を経験した業者は宅配大手の佐川急便。同社は顧客もインターネットで見られる管理記録サービスを採用していますが、このサービスによると、5月3日午前11時25分ごろ、仙台南営業所の担当者が床井さん宅に配達したことになってたそうです。
しかし床井さんによると、その時間は2人暮らしの妻純子さん(46)と外出中で家は留守だったそうです。その後夫妻は同日午後2時半ごろ帰宅したが、荷物は届いていなかったそうです。その日の夜、佐川から純子さんに届いた配達完了の通知メールを見て、ようやく異変に気付いたが、「誰かが留守宅に入って勝手にサインし、受け取ったのだろうか」と、こんな不安に駆られたといいます。
これは、一体どういうことなのでしょうか。これに対し、同社広報課は「配達担当者が玄関前に荷物を置き、床井さんになりすまして伝票の受け取り印欄に自らサインした」と説明、つづけて「荷物は手渡しが原則。担当者が勝手な判断でしたことだが、組織として申し訳なく思う」と同課は謝罪しました。
荷物のコンタクトレンズは結局、行方不明のままで、商品発送元の会社から5月19日、床井さんの銀行口座に賠償金とみられる5000円が振り込まれたそうです。これに対し、床井さんは「自分のケースが特殊とは思えない。今回は『氷山の一角』ではないか」と疑念を抱いています。
東北運輸局によると、宅配荷物の受け渡し方は国土交通省の認可を受けた各業者が個々に約款で定めており、法的な決まりはないそうです。また、佐川の約款は受取人が不在の場合、不在連絡票を残して通知した上で、営業所などで保管するとしています。
しかし、この宅配のトラブルには難しい側面も多くあるそうです。ある宅配員は、一戸建ての個人宅に荷物を届けるため、玄関先のチャイムを鳴らすと、そこに住んでいると思われる年配の女性が対応しました。荷物を手渡し、伝票にサインをもらい、「配達は完了」したかに思われましたが、翌日になって、その住民からクレームの電話が鳴り、「なぜ、『自分宛て』の荷物なのに別の人間に渡すんだ」と言われたそうです。
電話は、その家の「嫁」からで、荷物を受け取ったのは同居する「姑」だったそうですが、通常宅配員に本人かどうかを確認する義務はなく、少し理不尽なクレームと言えます。そのため、必ずしも配達員に落ち度があるとは限りませんが、家の前に荷物を放置するのはやめてほしいですね・・・