関西電力の役員ら20人が、福井県高浜町の元助役森山栄治氏（故人）から計約3億2000万円の金品を受け取った疑惑で、関電はきのう2日（2019年10月）に記者会見を開いて、社内調査報告書の内容を明らかにしました。

受け取ったのは、現金、商品券、米ドル、金貨、小判型金貨、金杯、金、スーツなどでした。

どうして金品を戻さなかった？

返却しようとすると、

「無礼者！わしを軽く見るなよ」「なぜわしの志であるギフト券を返却しようとするのか」

「お前なんかいつでも飛ばせるし、何なら首も飛ばす」「お前の家にダンプを突っ込ませる」

「お前にも娘があるだろう。娘がかわいくないのか」「わしが原子力を反対してどうなるか分からんのか」

などと大声で罵倒されたといいました。

高浜町と原電マネー

高浜町が所在している福井県は、全国47都道府県の中、面積と人口は約40位。かなり悪い成績です。

ですが、福井県の生産性は２０位圏です。経済面で比較的にいい成績を出せる理由を、専門家たちは原電マネーだと言います。

電力の生産と販売による収入と、原電稼働に必要である諸般施設の建設によって生じる建設会社への収入が福井県の主な収入源だといいます。

原発関連工事を受注している地域土木建設会社の秘密資金が森山に渡され、この資金などが関西電力役員に提供した金品の土台となったことが分かりました。

関西電力は、税務当局の指摘を受けて内部調査をした結果、役員20人金品を受けたものと判断しました。

地域経済を支えた森山

関電の報告書では森山氏は「感情の起伏が大きく、対応が非常に難しい人物」と評されました。

森山氏は、どんな人物だったのか。元は京都府の職員で、1969年に高浜町長に招聘されて町職員になりました。

1977年から助役になり、3、4号機の誘致に尽力しました。

高浜には関電の原子力発電所があり、1974年に稼働をはじめました。関西電力の総生産可能量の約２０％を生産できるキャパと施設を備えています。

2011年 3月の東日本大震災でしばらく原発の稼働を休止したこともあります。

助役を退任した後は、地元企業で役員や顧問を務め、今年3月（2019年）に亡くなりました。

生前、「発電所立地当時の書類は今でも自宅に残っており、これを明らかにしたら大変なことになる」と話していたと。

正月には関電関係者が「森山詣で」

森山氏のお誕生日会やお花見会には、関電幹部が多数出席し、正月には森山氏の自宅に関電役員らが列を作る「森山詣で」が慣例になっていました。

「お前なんかいつでも飛ばせるし、何なら首も飛ばすぞ」などといった発言がありました。

また、社内では過去の伝聞情報として、森山氏からの圧力に耐えかねて、対応者の中には、うつ病になった人、

辞表を出した人、すぐに左遷された人などがいる、などの話が伝えられることがありました。

自身やその家族の身体に危険を及ぼすことを示唆する恫喝として、「お前の家にダンプを突っ込ませる」などといった発言もありました。

また、社内では過去の伝聞として、対応者が森山氏から「お前にも娘があるだろう。娘がかわいくないのか？」とすごまれました。

別の対応者は森山氏のあまりに激しい恫喝の影響もあって身体を悪くして半身不随となって、その対応者は身の危険もあることから経緯を書いた遺書を作って貸金庫に預けていた、などの話が伝えられることがありました。

とくダネでは、関電事態を巡る討論会もありました。

山田秀雄（弁護士）は、

「いかに森山さんに力があったとしても、一部上場企業の関電の役員たちが、それが怖いから返さなかったということは理解に苦しみます。個人では怖くても、組織としては返せたはずです」

司会の小倉智昭「そんな人が役員やってる会社なんて、どうしようもないですね」

古市憲寿キャスター「改めて、原発ってすごい無理して作ってたものなんだなあという気がしました」

まとめ

原発再稼働を推進する電力会社と原発が立地した地方自治団体の歪曲された癒着関係だけではなく、

汚染された「原発マネー」と、これに財政を依存してきた「原発村」の実態が明らかになったからですね。

2011年の東日本大震災と福島（福島）原発事故後も原発再稼働を推進している安倍晋三政権は、

今回の事件が再稼働路線に支障をしてはいないか、気が立っているかもしれませんね。