日本の新興宗教といえば、創価学会や幸福の科学などの規模の大きなものから、聞いたこともないようなものがいくつもあります。そのうち真如苑では、一部で詐欺集団の疑惑も出ています。その誕生の経緯や、潤沢な資金から浮かび上がるものに、何が見えるのでしょうか。そこにあるのは悩める人の拠り所なのか、あるいは人の弱みに付け込んだ金の亡者なのでしょうか。
真如苑(しんにょえん)とは
真如苑とは、新興宗教の1つです。仏教の真言宗を元にした宗教で、100万人が信仰していると言われています。
真如苑の歴史
真如苑の歴史は、1936年2月に始まります。東京の立川市が拠点で、京都の醍醐寺の修行僧だった伊藤真乗(いとうしんじょう)が開いたもので、現時点の後継者は伊藤真聰(しんそう)です。戦後に「まこと教団」を名乗って真言宗から切り離していましたが、真如苑に名前を変えたのは1951年のことです。その2年後の1953年に、宗教法人として認められました。ちなみに、宗教法人として認証するのは当時文部省の管轄でした。平成28年現在の代表は、文科省の米村彬(あきら)です。山梨出身だった真乗は、曹洞宗の檀家総代だった父の影響で禅を学びました。妻は霊能家の家系だったと言われています。彼女が霊能を受け継いだことをきっかけに、会社を辞めた日を真如苑では立教の日としています。妻である友司(ともじ)を苑主にしていました。友司は宗教交流のために欧州に訪問したのち死亡しましたが、宗教交流のための海外渡航はその後も引き継がれています。
真如苑にまつわるエピソード
1950年8月20日に起こった「まこと教団事件」では、伊藤真乗が傷害容疑で逮捕されました。青年僧が修行を名目に受けた暴行について訴えたもので、4つの嫌疑のうち2つは宗教上の理由から無罪になりました。他の2つは有罪でしたが、真乗が関わった事実はなかったとも言われています。しかしこの起訴自体が、新興宗教への偏見のせいだという噂もあります。加盟していた新日本宗教団体連合会は無罪を当然としたうえで、世間一般の新興宗教への弾圧を指摘しました。この事件は、のちに真如苑に改称するきっかけになりました。このときに妻の友司が苑主になっています。このようなエピソードでマスコミをにぎわせた一方で、その資金の潤沢さは目を見張るものがあります。たとえば、当時の価格で14億円もの仏像を競り落としたり、740億円で土地を購入したりしています。
真如苑の修行
真如苑の修行は「接心」が特徴です。この修行は瞑想を行うというものですが、「霊言」から相談の回答を得るようなもののようです。この接心は、占いに近い修行という見方もあるようです。霊能者を通じたこのような修行では、多少なりとも当たることからマインドコントロールされているのではないかという噂もあります。霊能を使う教団は多いと言われていますが、命令口調や断定の多い他の霊能者の言葉に比べると抽象的だといわれています。真如苑では、この霊能の力は限られた場所でしか使えないそうです。この接心を行うためには各法要行事に参加する必要があり、どの法要にも寄付金が必要だそうです。それ以外に、日常的にはお布施や教えを語り伝える、掃除などがあります。お経を朝夕に上げるといった一般的なものもあります。
真如苑の現在
現在苑主を引き継いでいるのは、三女にあたります。文化庁からは新しい仏教教団にくくられているものの、真如苑側は一貫して真言宗醍醐派と主張しており、信者には新興宗教であることを否定する姿勢が取られています。醍醐寺からの系譜を主張していますが、実際には真言宗から外れた教義からさらに外れた邪宗ではないかという噂もあります。これを裏付けるかのように、修行である接心を行うためには寄付金が必要です。他にも信者に対して肩書きを用意することで競争心をあおった寄付金集めしていると指摘する声もあるようです。さらには真乗が生前、金持ちだけが真如苑にいればいいという旨を語っていたとも言われています。このようなことも邪宗扱いをされる原因かもしれません。
まとめ
現在、新興宗教はその立場を悪用しているケースも多いことが問題化しています。真如苑が必ずしも該当するとは言い切れませんが、信徒の数は決して少なくありません。寄付金の集め方に疑問を持たれていたり、真言宗からもかけ離れていると指摘されたりするなど活動内容や目的に疑問符を浮かべる向きもあるようです。