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本当のあらすじ知っていますか?かぐや姫が犯した罪とは一体?


「竹取物語」、あるいは「竹取の翁の物語」や「かぐや姫の物語」とも呼ばれるおとぎ話は現存する日本最古の伝記物語です。作者は不明ですが、9世紀末から10世紀の初めに成立されたと言われています。かなり古いですが、数多くのゲームやアニメのキャラクター、もしくはストーリーのなかでオマージュとして息を吹き返す事があるほど愛されている物語です。なかでも2013年11月23日に劇場公開されたジブリ作品「かぐや姫の物語」は有名と言えます。

 


写真:library.rikkyo.ac.jp

この作品は様々な話題を呼んで注目を集めましたが、特に目をひいたのはキャッチコピーでした。それは「姫の犯した罪と罰」という言葉です。「姫」という清らかな単語に「罪」と「罰」という真逆の言葉が続くのは違和感を覚えるほどのギャップがありますが、実はおかしな事ではありません。原作において姫が罪を犯した事が明言されているからです。

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写真:commons.wikimedia.org

「竹取物語」を大まかに3つに分けられます。1つは翁と姫の出会いから生い立ち、もう1つは5人の貴公子たちと帝の求婚、そして最後の1つは月に帰るまでの経緯です。そのうち姫の罪について触れている場面は最後の月に帰るまでの経緯で、そこで彼女を連れ戻しに来た月の都の王が「姫は月の都の住人だったが、罪を犯したので地上に遣わされた」と語っています。では姫の罪とは何か。残念ながら「竹取物語」ではそれ以上踏み込んでいないため、分かりません。point 293 | 1

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写真:library.rikkyo.ac.jp

映画「かぐや姫の物語」では「清らかな月の姫が下賎な地上の生き物に憧れた」事が姫の罪としています。実際に「竹取物語」でも姫は「地上に憧れたから降ろされた」という場面があるため、間違っていないかもしれません。余談ですが罰については映画と原作で分かれており、前者は「辛い体験をして地上を拒絶する事」、後者は「あらかじめ定められた期間を過ごす事」でした。

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写真:ameblo.jp

しかしここで少し考え方を変え、姫が犯した罪を考え直したいと思います。その材料となるのは富士山周辺に伝わる伝説です。元々「竹取物語」の舞台は駿河国の富士郡、つまり現在の富士市だと言われています。実際にかぐや姫の養母であるおばあさんを祀っているという今宮浅間神社や老夫婦の屋敷があったとされる竹採屋敷や寒竹浅間神社など伝説が色濃く残る場所には残っており、かぐや姫との深い関係性を暗示しているのです。「竹取物語」でも姫は翁には別れを、帝には手紙と不死の薬を残したとされています。のちに帝は姫からもらった薬を富士山の山頂で焼くと煙が立ち、噴火する山になったという話があるほどです。point 354 | 1

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写真:joyconcept.co.jp

そんな富士山周辺に伝わるかぐや姫の伝説はありますが、「竹取物語」とは少々違います。「竹取物語」の最後では姫は月の都の住人たちとともに月に帰っていきますが、富士山に残る伝説では姫は月ではなく富士山に登って姿を消したものや故郷である富士山の麓に帰ってきたものなどバラバラです。前者の結末では姫は富士山の祭神につながり、後者は姫を追ってきた帝が姫とともに山頂で人生を終えたというエピローグにつながります。

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写真:tacchan.hatenablog.com

ここで注目したいポイントは後者の伝説、姫と帝が添い遂げたという結末です。現在では当然の権利とされていますが、自由な恋愛は罪とされていた時代がありました。女性が政権に参加できる権利を得るまでの時代において、女性は男性あるいは家の所有物だったと言っても過言ではありません。「竹取物語」が成立した時代では自由な恋愛はおろか、アガペーに属する「愛」という概念と言葉はなかったと言ってもいいほどです。そんな時代で、もしも「身分違いの恋」や「自由な恋」をしようとした女性がいたら周囲にはどんな人間に見えたかなんて言うまでもありません。しかもその恋を成就しようとしたら、その当時の世相としては大罪だったのではないでしょうか。かぐや姫が犯した本当の罪、それは「自由な恋を叶えようとした」あるいは「叶えた」事だったかもしれません。point 437 | 1

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