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ステルス戦闘機心神開発状況と、開発が問題になっている理由


現在、日本では防衛省の外局である防衛設備庁が三菱重工業を主契約会社とした実験航空機の開発が進められています。この実験航空機は、X-2というのが正式名称ですが、プロジェクトの通称であった「心神」が定着していて、今でもこの呼称でメディアでは取り上げられている事が多いです。ほぼ10年の歳月をかけて2016年の初飛行にいたった心神ですが、その開発状況は現在どうなっていて、また今後どうなっていくのでしょうか。

これまでの心神開発状況


写真:ハフィントンポスト

心神は、2000年頃に計画が開始されました。21世紀に入って世界の戦闘機は第5世代と呼ばれる形態が主流となってきました。これはそれまでの戦闘機に新たにステルス性を加えたものです。この分野では遅れをとっていた日本は、技術的に追いつくための研究として心神計画をスタートさせました。心神開発状況は当初は技術研究としての予算で行われました。そのため、統一された予算ではなく機体各部によって複数の予算を付けるというような事が行われました。心神開発状況のうち、最も進んでいたのがエンジンで、この部分は1995年頃から開発が始まり、2000年代の早い時期にはほぼ完成していました。心神開発状況の中で続いた進んだのが機体の部分の開発で、フランスなどでステルス性実験が行われたのも同じく2000年代半ばです。point 418 | 1

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写真:中国の反応ブログ

全体的にハードウェアについては心神開発状況の中では順調に進んだ方ですが、開発が難しかったのがソフトウェアの部分だったようです。当初、実機の初飛行は2014年度内が予定されていたのが、結局初飛行は2016年4月まで2年も延期されてしまいました。公式発表によるとこれらはエンジンを制御するソフトウェアの不具合または未完成によるものとされています。心神開発状況の中ではステルス開発と共に運動性能の向上を期待されており、人間ではコントロール出来ないような複雑な動きをソフトウェアにさせようとの意図があるようです。point 313 | 1

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これからの心神はどうなっていくのか


写真:ウィキペディア

心神開発状況のうち、全体のスケジュールを遅れさせたソフトウェアの開発遅延ですが、ソフトウェアにハードウェアを制御させる事の難しさが現れた結果でしょう。心神は2017年10月に予定の試験飛行を全て終えて、一応のプロジェクトの終結を見ました。心神開発状況の過程においては、心神そのものが国産のステルス性を備えた次期戦闘機となるような噂も飛び交いましたが、実際には実験機の域を出ず、その役目を終えました。日本独自の技術も多数盛り込まれましたが、その開発中にアメリカのF35が登場して圧倒的な性能向上が見られたため、ほぼ国産での独自開発の道は無くなったと言えるでしょう。
心神開発の意義としては、日本の戦闘機開発の技術を維持継承するためだったとも言えますが、それにしても非常に高い維持費であったと言わざるを得ません。
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写真:JANispoint 58 | 1

現代の戦争では航空機の優勢が戦局に重要な影響を及ぼすことは言うまでもありません。まして海に囲まれた日本では制空権を確保すれば敵の上陸を阻むことが出来るので、防衛上きわめて有利となります。しかしその制空権の要となる戦闘機を独自で開発する事にどれだけの意味があるのかという点も今では疑問です。日本は単独では成り立たない国なのですから、いずれかの大国と同盟して国を維持するしかありません。その際に、同盟国からの武器供給で防衛力を維持する事にどれだけの不都合があるのでしょうか。point 293 | 1

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まとめ


写真:時事ドットコム

心神開発状況の過程では、一部に次期国産戦闘機への期待があったと考えられます。しかしここまで軍事技術が高度化し開発コストも高額化している今日においては、その技術を一国の技術力だけで成り立たせようとするのは日本の国力では事実上不可能でしょう。心神はやはりひとつの大きな実験であったと言わざるを得ません。心神開発が全く無意味とまでは言えませんが、その技術が直接的に日本の防衛力強化につながったとは言えないようです。point 273 | 1

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