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小保方晴子が提唱した「STAP細胞」は外国に奪われた…!?


小保方晴子さんらが中心になって研究していたSTAP細胞は、2014年に「ネイチャー」に発表されるとまたたく間に世界の注目を集めました。
新たな方法によって万能(多能性)細胞が発見されたのであれば、倫理的な問題をクリアしながら再生医療の実現を目指せます。
しかし2014年末には事実でなかったことが判明し論文が撤回されました。小保方晴子さんや理化学研究所の職を失い、研究のパートナーだった笹井芳樹さんは自殺してしまます。
果たしてSTAP細胞は本当に存在したのか、そして海外に奪われてしまったのでしょうか?検証していきましょう。

STAP細胞とは!?ES細胞やiPS細胞との違い


写真:つなごう医療 中日メディカルサイト – 中日新聞

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多能性細胞といえばES細胞やiPS細胞がありますよね。この2つの細胞とSTAP細胞と何が違うのでしょうか。
結論から言うと細胞を生み出す工程が違っています。
ES細胞は、まず生物の受精卵を手に入れる必要があります。次に胚のある段階で、肺の一部を切り取り培養して作られます。
iPS細胞は、生物の皮膚組織などの体細胞を採取し多能性誘導因子を導入して培養します。
ES細胞は、ヒトの受精乱入しなければならないため倫理上の問題があります。対するiPS細胞は倫理上の課題をクリアしましたが、遺伝子異常などのリスクを指摘されています。
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写真:news.point 58 | yahoo.point 64 | compoint 67 | 1

この2つに対してSTAP細胞は、ちぎれた尻尾を再生させるイモリからインスピレーションを得ました。生物の体細胞に酸や熱などの外的刺激を与えて傷つけます。傷つけた細胞を培養することで作り出すとされました。
もしSTAP細胞が事実であったならES細胞のような倫理的な問題もなく、iPSのように滞納製誘導因子を導入する必要もなく、非常にシンプルな工程で多能性細胞を育てられます。
2014年の発表時、既存の多能性細胞とは全く違った発想であったことや研究者が若い女性であったことから注目を集めましたが、保存していた冷蔵庫に他のES細胞も入れていたことなどが判明したため論文は撤回されました。point 355 | 1

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STAP細胞は海外で研究されている!?


写真:レコードチャイナ

2015年になると「STAP細胞が海外で奪われた!」という情報が出回ります。
これは、2015年11月27日付けの「ネイチャー」で、テキサス大学医学部ヒューストン校やピッツバーグ大学医学部の研究者たちの発表「損傷誘導性の筋肉由来幹細胞様細胞群」きっかけでした。
この研究では、マウスから採取した筋肉細胞を損傷させることで幹細胞に似た細胞を作り出しており、その細胞を「iMuSCs細胞」と名付けています。また2016年3月にはドイツの研究グループも発表しています。
この事実が、ネットなどで拡散され「STAP細胞が海外に盗まれた!」という情報に繋がったと考えられます。
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写真:Naverまとめpoint 61 | 1

確かに生物の細胞に刺激を与えるという方法は、STAP細胞の作成工程と似ており、混同してしまっても不思議ではありませんね。
しかしSTAP細胞と呼ぶためには「小保方晴子さんらと同じ手法で実験する」「それによって生じた細胞がSTAP細胞と全く一致する」という条件を満たさなければなりません。
アメリカの研究やドイツの研究では「細胞に刺激を与える」という点においては全く同じですが、細胞に与える物質や量、生じた細胞も違ったものなのでSTAP細胞とは呼べないことになります。
つまりSTAP細胞に似た研究は世界各地では行われているけれども、STAP細胞の存在が証明されたわけではないのです。point 349 | 1

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まとめ


写真:日本経済新聞

小保方晴子さんが取り組んでいた「STAP細胞は外国に奪われたのか!?」について検証してきました。
世界各国で進められている多能性細胞研究には、STAP細胞研究と着想を同じくするものもあります。このことがSTAP細胞は外国に奪われたという勘違いに繋がったと考えられます。
また再生医療の要となる多能性細胞の発見に向けて世界各国の研究機関や大学、ベンチャー企業などが先を争って研究開発しているものの、いずれの研究においても「STAP細胞の作成」には成功していません。point 297 | 1

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