10月31日未明、沖縄市のシンボルで、那覇市にある「世界遺産」の首里城跡に復元された「首里城」から火が出て、城の中心的な建物の「正殿」などが全焼しました。
城内では火の勢いはおさまりつつあるものの、一部の建物は現在も燃えていて、消防が消火活動を続けています。
火災があったのは31日午前2時40分すぎでした。
沖縄の代表的な観光スポットで、沖縄の人たちにとって聖地でもある首里城でその火災は起こり、
煙が上がっていると消防に通報があったといいます。
消防によりますと、消防車30台が出て消火にあたっていますが、この火災で城の中心的な建物の「正殿」のほか、「北殿」や「南殿」も全焼したと発表されています。
観光地で世界遺産なだけに県民や、多くの芸能人からもショックの声が相次いでいます。
今回、首里城の火災について、首里城復元の歴史考証を担当したという高良倉吉・琉球大学名誉教授(琉球史)の話を聞いてみたところ、
那覇市の自宅から、首里城の方角が炎に包まれているのを見て言葉を失ったといいます。
今年2月、(正殿の裏側にある)「御内原(おうちばら)エリア」などの復元を終えて一般公開。
三十数年をかけて、首里城公園全体の復元整備が完成したばかりだったそうです。
明治以来の本土への同化志向もあって琉球王国の文物は散逸し、史跡や風景も沖縄戦で破壊されてしまっていました。
そんな沖縄にとって、首里城の復元はアイデンティティーを取り戻すプロジェクトでもあったといいます。
沖縄戦による焼失もあり、復元作業の参考になる資料は乏しくもありました。
首里城復元に関わり苦労した多くの人たちが、喜びをかみしめていた矢先に、まさかこんなことになるとは誰もが思っていなかったと話します。
沖縄の歴史と誇りを象徴する首里城が再び失われてしまうという結果に…。
再度の復元については、今は何も考えられないと口にしました。
発生から6時間余りがたち、火の勢いはおさまりつつあるものの、
現在も「正殿」の西側にある「奉神門」が燃えていて、消防が消火活動を続けています。
近くに住む人からはこんな悲しい声が。
「午前3時ごろに消防車のサイレンを聞いて、火災に気がつきました。ここまでパチパチと燃える音が聞こえて、赤く大きな炎も見えます。首里城が燃えていると聞いてとても驚いています。一刻も早く火が消えてほしいです」
また、近くのマンションに住む63歳の男性からは、
「パトカーのサイレンで火災を知りました。家の上に火の粉が降っていて、危ないなと思い、家を出ました。戦後にやっと首里城が復旧したのにまた火事だと思うと残念です」
と話していました。
世間からもショックだという声が止まりません。
出火原因などはこれから調査していくかとは思いますが、
那覇市の城間市長は午前8時すぎから市役所で記者会見を開き、
「歴史的な財産、シンボルを失い落胆の思いだ。そして観光でまずは首里城に行こうという人たちのことを考えると残念でならず、観光への影響はとても大きい」と述べました。