大阪なおみは今月25日、全仏オープンテニスに向けた調整期間中ではありましたが、ポルシェ・テニス・グランプリで自身初の8強入りを果たしました。直近の3大会でスランプ状態が続いていた大阪なおみは”うつ状態”にあったことを認めています。
気持ちの切り替えに苦戦
全米オープンテニスと全豪オープンテニスので優勝を飾った大坂なおみは、先月行われていたマイアミ・オープンでベテラン選手の謝淑薇(台湾)には敗れていましたが、今年3度目の同カードでは全豪に続く2勝目を記録しました。
しかし、2017年の独シュツットガルト大会では予選勝者として出場しましたが、直近の3大会ではいずれも早期敗退に終わっており、「不振に陥っていたこの数か月間」は「うつ状態」にあったことを認めました。
全豪オープン後にコーチを務めていたサーシャ・バイン氏と決別して以降、名声をつかみとったことや世界トップに上り詰めたことなどと折り合いをつけることに苦労していたそうで、「私に対して本当に前向きに接してくれている皆さんに、とても感謝している。この数か月間は本当に不振だった。うつ状態の子どもだった」と明かしました。続けて、
「自分に関して唯一明るい材料があるとすれば、それはすぐに学べるようになったこと」「自分にたくさんの重圧をかけていて、最初のいくつかの大会では折り合いをつけることが難しいことを思い知らされた」「今は世界1位になる前のように、試合を楽しむことを心掛けている」
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と試練を乗り越え、今は前向きな気持ちで試合に臨んでいるとコメントしました。
東京五輪への出場の危機
今回、大坂なおみは個人戦を優先し、今月からのヨーロッパクレーシーズンに備えることを決定しているため、フェドカップへの出場を辞退しています。しかし、今回の決定は2020年東京オリンピックへの出場権に関わってくるため、多くの関係者が気を揉んでいるそうです。
プロテニス選手がオリンピックに出場するには、オリンピックとオリンピックの間の4年で、国別代表戦に3回出場しなければなりません。さらに、そのうちの1回は、オリンピックの1年前、あるいは開催年に代表としてプレーしなければならない規則が設けられています。
大坂なおみは、すでに2017年2月のアジア・オセアニアゾーンIでの地域予選と、2018年4月のWGIIプレーオフ・イギリス戦に出場していますが、東京オリンピック出場条件のためには、あと1回、国別代表戦でプレーしなければならないのです。
ただ、ワールドツアーが確立しているプロテニス界にとって、4年に1回のオリンピックは、最高峰の大会ではなく特殊なイベントという立ち位置になります。そのため、選手にとっては優先度が低く、オランダのエースであるキキ・バーテンズ(7位)も、大坂なおみ同様、代表を辞退していました。両国ともエース不在の状況を、ハールヒュース監督は「選手が普段の個人戦の厳しいスケジュールの間を縫って代表戦をこなすとき、そのバランスを保つのは難しい」という見解を示しました。
この局面を土橋監督は、「新しいステージに日本も来たのかな。日本にとっては大きな経験だと思います」と、”うれしい悩み”であることを強調しました。
「チームのスケジュールと考え方を、我々も選手とともに考えながら交渉しますし、(大坂なおみに)出てもらいたいという気持ちはあります。(大坂なおみの)オリンピックの出場権というのも正直かかっている。これからもいいサポートといいコミュニケーションを取りながら進めていければ」
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と監督は、”大阪なおみとの連携をしっかりと築くことがこれからの課題“だとコメントしました。