東京都大田区の北嶺町には御嶽山駅という名前の駅があります。1日におよそ2万6,000人以上の乗降者が利用する駅です。この駅の名前は、数年前のニュースで大々的に報道されたある火山の名前に由来しています。東京から西に200キロ以上も離れた中部地方に位置する火山です。そのような場所にある火山の名前がなぜ大田区の駅名に使われているのでしょうか。また、この駅の周辺環境はどのようになっているのでしょうか。そのあたりのことを今から詳しくお伝えしたいと思います。
遠くの場所にある火山と同じ名前が駅に付けられた理由とは
写真:とくらく
東京都大田区にある御嶽山駅は東急池上線の駅です。東急池上線というのは品川区にある五反田駅を起点とし、大田区の蒲田駅を終点とする約11キロの路線で、全部で15の駅があります。起点である五反田駅から10個目の駅、それが御嶽山駅です。この駅が開業した1922年(大正11年)、駅名は「御嶽山前駅」でした。現在の「御嶽山駅」に改称されたのは1929年(昭和4年)のことです。
写真:フォートラベル
この駅名は、近くにある「御嶽神社」に由来します。そしてこれと関連があるのが、長野県および岐阜県の県境に位置する御嶽山(おんたけさん)です。「木曽御嶽山」とも呼ばれ、古くから信仰の山として人々の崇拝の対象とされてきました。2014年(平成26年)9月に噴火し、その火砕流によって多くの登山客が犠牲となったニュースをご記憶の方も少なくないことでしょう。
大田区にある御嶽神社は、木曽の御嶽山にある御嶽神社の支社です。大田区の御嶽神社は戦国時代の1535年(天文4年)に創建されたとされていますが、創建当初は木曽の御嶽神社の支社という扱いではありませんでした。創建から300年ほどを経た江戸時代後期になって、木曽の御嶽山で修業を積んだ僧侶がここに大きな社殿を建立しました。それ以来、江戸および関東各地から御嶽山の信者など多くの参拝者がここを訪れるようになりました。御嶽山を奉るこの神社に参拝すれば、遠く離れた木曽の地まで行かずともその同じ御利益が得られると考えられ、参拝者が増えていったそうです。そののち大正時代になって鉄道の駅がこの場所に設置された際、この御嶽山の名前が駅名に利用されました。
御嶽山駅の周辺環境について
写真:マピオン
では次に、御嶽山駅の周辺情報にも触れておきましょう。まずは先ほどから述べている御嶽神社との位置関係です。駅の西側の出入口(五反田方面入口)を出ると、その北西150メートルほどの場所に御嶽神社があります。駅を出てから社殿までは徒歩数分で到着できます。また、駅と神社の間には「イオンスタイル」という商業施設があります。駅から徒歩で約1分です。また、駅の東側の出入口(鎌田方面入口)には「オオゼキ」というスーパーマーケットがあり、こちらも駅から徒歩で1~2分です。いずれも生鮮食品や日用雑貨などを扱う店舗で、地元の買い物客が多く利用します。
写真:人気の街情報 ここまち! – 三菱UFJ不動産販売
駅の近くにある金融機関としては、駅の東100メートルほどの場所に三井住友銀行の出張所があります。また、東400メートルほどの場所には東嶺町郵便局もあります。
駅周辺にはさらに、大ヒット歌謡曲にちなんだスポットも存在します。駅の西およそ800メートルほどの場所にある「桜坂」です。福山雅治さんが2000年4月にリリースし、累計250万枚を売り上げたとされる15枚目のシングル「桜坂」のモデルの1つとされているのがこの場所です。この曲がヒットして以来、大田区の桜坂を訪れる人々が急増しました。ここは文字通り桜の名所としても知られる場所で、南北に走る道路の両脇に20本ほどの桜の木が植えられています。
まとめ
写真:mu3rail.blog.so-net.ne.jp
数百キロも離れた場所にある火山の名前が東京都大田区の駅名に使われている理由についてご理解いただけたでしょうか。御嶽山と御嶽神社は古くから人々の信仰の対象とされてきました。そこに参拝して御利益にあずかりたいと思っても、昔の人々がその地へ赴くのは簡単なことではありませんでした。しかし、江戸の地にも御嶽神社が建立され、大勢の人々が参拝に訪れるようになりました。そして今では有名なヒット曲にちなんだ名所が近くにあって、こちらへもまた大勢の人々が訪れるようになっています。