最近何かと世間を賑わせて論議になることもある性同一障害。今日本にはおよそ4万人の性同一障害の患者さんがいるとされています。今回取り上げる性転換手術は、それらの人たちの唯一の治療法になっています。しかし我々は性転換手術がどういうものなのか全然分かっていないのが実情です。差別を恐れ、性同一障害をひた隠しにする人もいるとか。そういった人たちの理解を深めるためにもこの性転換手術の知識を少しでも知って頂ければ幸いです。
性転換手術とは?
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性転換手術は性同一性障害の治療法の一つです。男は女に、女は男にと、性を換える手術です。簡単に言うと女性から男性に性転換する手術では、子宮卵巣摘出術、膣粘膜切除・膣閉鎖術、尿道延長術、陰茎形成術で男性器を創造します。反対に男性から女性に換える手術の内容は精巣摘出術、陰茎切除術、造膣術、陰核形成術、外陰部形成術によって女性器を創り出します。日本では手術が出来る医師がほとんどいないため、海外(タイ)で手術を受ける人がほとんどです。
性転換手術でのリスクは?
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まず断っておきますが、性同一性障害の患者さんを脅かす訳ではありません。しかし性転換手術に踏み切ろうとしている人に、その手術におけるリスクをどうしても知ってもらいたいのです。多分今性転換手術を決断している人はほとんどが幸せな未来を思い描いているのではないでしょうか。しかし現実はそんなに甘くありません。性転換手術を患者さんにお話を伺ってみると、何年か経ってみて後悔したという人が少なくないのです。その原因はホルモンが無くなることと、生殖機能が永遠に失われるということです。ホルモンは代謝、神経伝達など人間の身体になくてはならない物質です。ホルモンが無くなる結果、更年期障害(男性、女性共に)が起きやすくなり、身体に様々な不調をきたすことになります。噂では、あまりの辛さに自殺者まででているとか。何度も言いますが決して脅かしではありません。今性転換手術をしようか迷っている人に言いたいのはじっくりと本当に必要なのかをよく考えてから実行してください。
体験者に聞く、性転換手術の成功例
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リスクの項では、何か性転換手術が悪いものだと決めつけたように聞こえたかもしれませんね。しかし、中には手術をしたことで、その後の人生が素晴らしく変わったという声があるのは事実です。ここでは性転換手術を受けた体験者の成功例の一部をご紹介しましょう。例えばAさん。この方は女性の方です。以前から自分が男性ではないかと、ずっと悩み続けていたある日、クリニックのCMを見て決断されたそうです。男性ホルモン治療によってその変化は、筋肉の量が増えて、男性的な体格になってきた、ひげが生え、濃くなる、乳房が縮小するなど、自分が変わる姿を実感されています。またBさんは50代の男性です。医師から親身なアドバイスを聞いて、安心したのか性転換手術を受けることを決められました。単純な女性器の形成手術を受け、今は毎日を晴れやかに楽しんでいらっしゃいます。ただ日本では性転換手術が出来る病院が少ないのが現状のようです。残念なことですが、これもお国柄だということなのでしょうか。
どうやってやるの?性転換手術のやり方
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でも、性転換手術ってどうやって行うのでしょうね。それはただ闇雲に手術をする訳ではありません。手術を受ける前に様々な条件をパスする必要があるようです。それは、
・満18歳から20歳以上であること
・1年以上のホルモン剤の継続治療歴
・自分自身の性(男性は女性に、女性は男性ではないかという疑問)に違和感がある
・セラピストや、精神科の推薦状、または診断書といったようにある
程度のハードルがあるようです。
これらを満たしたらいよいよ手術ということになります。やり方は以下の通りです。
■女性から男性に
・子宮、卵巣の摘出
・膣の閉鎖
・尿道の延長
・陰茎の形成
■男性から女性に
・海綿体、陰茎、睾丸の摘出
・膣の形成(陰嚢の皮膚を移植して膣を作る)
というのが性転換手術の基本となるようです。噂によるとこれらはほとんどその日に帰れる手術だということです。
この他手術を希望しない人には女性ホルモンの投与や、男性ホルモンの注射でも性転換は可能なようです。
海外での性転換手術事情とは?
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日本での性転換手術はまだまだ周知が不十分で知らない人も結構いらっしゃるようです。一方、海外ではどうなのでしょうか。性転換手術の先進国ともいえるタイ。レビューなどで男性(失礼!女性です)が艶やかな踊りを見せているのはテレビなどでもお馴染みですよね。最近は日本からもタイへ渡航する性同一性障害に悩む患者さんが多いと聞きます。日本だと事前に事細かく聞かれることもあり、手術に辿り着くまでかなりの時間(2年以上)を覚悟しなければなりません。もちろんタイでも先に挙げた条件は必須になりますが、それでも日本に比べれば待ち時間はかなり短縮されるようです。そのため、一刻も早く手術を受けたいと願っている性同一性障害の皆さんは、どうしても海外へ行ってしまうんですね。
まとめ
はるな愛、カバちゃん、カルーセル麻紀など芸能人には性転換手術をしてカミングアウトした人が沢山います。その全ての芸能人に共通しているのは、手術をして本当に幸せなんだなと感じることです。佐藤かよさんなども性転換手術をしたことで、より活躍の場が増えたという人も少なくありません。リスクの項で性転換手術は後悔することも多いといったのは、中途半端な気持ちで行動すればその人の人生は暗闇に包まれることになると言いたかったのです。性転換手術は皆さんの気持ちがしっかり固まってからでも遅くはありません。もう一度自分に問いかけましょう。