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【動画有】二世ゆえ名字がなかった?仲野太賀が「姓」をつけて変わったことは…


大学の研究室で働く行助(ゆきすけ)は、駅前でたいやき屋を営むこよみと出会い心惹かれるが、程なくして、こよみは事故に遭い、新しい記憶を短時間しか留めておけなくなってしまう…。
上映中の映画『静かな雨』(中川龍太郎監督)の原作は、2016年に『羊と鋼の森』で本屋大賞を受賞した宮下奈都さんのデビュー作。

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©2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋

行助を演じた太賀さんは、最初に脚本を読んだときに、「世の中にごまんとある記憶喪失者の映画の中で、自分がやる意味はどこにあるんだろう? どうしたら、行助というキャラクターをリアルに、それでいて魅力的に見せることができるだろうか?」と、熟考したといいます。(以下 <現代ビジネス>に掲載されたインタビューより)point 234 | 1

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大切ななにかを失っても、残るものに強烈に惹かれ…

リアルかそうでないかは、太賀さんが役を演じる時にもっとも心を砕いていることだという。

「中川(龍太郎)監督とは、2015年に、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』という映画でご一緒しています。ずっと、オリジナルストーリーを紡いで、映画を撮ってきた監督の初めての原作ものということで、何とか力になれればな、と思って。クランクインする前に、たくさん話し合いを重ねました」

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natalie.point 58 | mu

出来上がったのは、『静かな雨』というタイトルに相応しい、静かな静かな映画。中川監督は、パンフレットの監督インタビューで、
「“今ここにある光こそ”というのがこの映画のテーマ。人生では、ようやく希望を見つけたと思った矢先に悲劇が降りかかったりする。この先、世の中自体がよくなることはないだろうと、漠然と予感している僕らの世代(※監督は1990年生まれ)が信じられるのは、ある日の夕方の美しさであったり、手作りの食べ物の温かさのように、ささやかだけど確かに目の前に存在するものなのではないでしょうか」
と語っているが、太賀さんもまた同じように、インタビュー中、目の前にある“ささやかな光”の美しさに言及しました。point 362 | 1

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シネマ ジャック&ベティ

「誰にとっても当たり前にあると思っていた“記憶”が、ある日突然失われてしまった。それはとても悲しいことだけれど、行助は、悲劇を体験したことでそれまで気づけなかったささやかな光に気づけたと思うんです。こよみさんの記憶は2度と更新されない。でも、記憶を失う前とあとで、変わらないこよみさんの表情があって、行助はそれに支えられた。この仕事をしていると、成長とか進化みたいなものを芝居で体現しなきゃならないことも多いんですが、この映画では、“変わらないもの”が行助にとって一番信じられるものになっている。それは、僕にとってもリアルだなと思える部分でもあります」point 337 | 1

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わかりやすくない何かに惹かれる

太賀さんの起用の理由については…

「この企画をいただいた時、最初にプロデューサーに、主人公は太賀で、とお願いしました。太賀は、今の僕の中で、自分のある種の分身的な存在です。映画の主人公には、少なからず自分を投影することがありますが、自分自身への信頼感のなさ、どこか欠落感や不全感を覚えながら生きている感じ。そういったものを抱えながら生きているという面では、行助は自分の分身であるだけでなく、僕らの世代の象徴にもなりうるキャラクターだと思っています。それを一番誠実に表現できるのは太賀じゃないかと思うんです」と 監督は言っていたのです。point 286 | 1

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「そんなの、大袈裟に言っているだけけだと思いますけどね(照)。ただ、俳優部として、監督から何かを託されることは、とても光栄なことだと思います。特に、良くも悪くも僕の場合、さっきの光の話ではないですが、“わかりやすくない何か”の方に惹かれるんです。自分のこの見た目とか、声とか、雰囲気とか、そういうものを駆使して、言葉にできないことを表現できる。俳優としてはとてもやりがいを感じます」point 246 | 1

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情熱が空回りして、かなり苦しかった

昨年の6月に、それまでの“太賀”から、“仲野太賀”へと改名した。13歳で事務所に所属した時、二世(※父は俳優の中野英雄さん)であることを配慮してか、いつの間にか“太賀”という名で仕事をすることになっていた。「なんで苗字がないんだろう。かえって二世俳優っぽいわ」などと思っていた矢先、16年のドラマ『ゆとりですがなにか』では、ゆとりモンスターの山岸役で、18年の『今日から俺は‼︎』では紅羽高校の番長・今井勝俊役で、それぞれ注目度を上げ、「名前が少し浸透したタイミングで名字を!」と、改名を決意しました。point 274 | 1

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スポニチ

「13歳でこの世界に入った時は、当然、オファーをもらえる立場ではなかったので、いろんなオーディションを受けまくったり。芝居に対して暑苦しく、貪欲で、がむしゃらでした(笑)。そのくせ、どメジャーなものよりは、どこか作家性のあるものが好きだったりもして。自分の情熱が空回りするだけでなく、役をいただけでも、すごく端っこにしか映ってなかったり、23~24歳ぐらいまでは、かなり苦しかったです。なんとなく負ける、みたいなことだけは嫌なのに、スタートラインにも立てなくて、焦ってばかりでした。point 295 | 1

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でも、『ゆとりですがなにか』で、まずは業界の人に認知していただけて。その頃から、それまで出会ってきた人だったり、お世話になった人と、また一緒にやれる機会が増えていったんです。それまでのような、作品や監督さんにおんぶに抱っこじゃなく、監督や作家さんとがっぷり四つに組んで、一緒に物づくりをしていけるような感覚が、少しずつ生まれてきた。今回の映画もそうですが、作り手の方たちとの関係性が、どんどん深くなっていく。そんな手応えを、この映画でも感じられたんです 」point 227 | 1

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今抱えている劣等感は、日常に対する経験値の低さ

演技をしている瞬間に、「今、すごく自由だな」と感じる一方で、新たな劣等感も生まれているという。

「目一杯怒っていいし、目一杯泣いていいし。そういう意味で、役の方が、自由になれる瞬間は、確実にある気がします。でもそれも全部ってわけじゃない。これを言ってしまうと、ものすごく贅沢な悩みに聞こえるかもしれないんですが…
芝居に対する情熱が空回りしていた時期を抜けて、実は今、僕はまた別のトンネルに入っているんです。

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©2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋

それは、いわゆる“普通の暮らし”とか“普通のストレス”を自分が知らないかもしれないことに対する劣等感というか……。時々、インタビューなんかで、『俳優じゃなかったら何をやっていたと思いますか? 』とか質問されるんですが、同じ時間に、同じ場所に通うようなサラリーマンも、建設現場なんかで働くようなことにしても、自分ができるとかできないとか、想像がつかないんですよ。point 256 | 1

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ものづくりの現場には、いろんな幸せが転がっているけれど、幸せの形を、この職業でしか知らないということはもしかしたら寂しいことかもしれない。僕らって、結局、市井の人を演じるわけじゃないですか。なのに僕は、13歳から特殊な世界にいて、“日常”というものに対する経験値が低い。基本的に世間知らずなんです。それが、今の僕の最大のコンプレックスです 」

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中川監督によれば、行助は「人に対して与え、尽くそうと努力する人間」なのだそうです。そうして、行助を演じた太賀さんもまた、役に対して自分を与え、捧げ、尽くそうとする人間なのではないでしょうか…。

 

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仲野太賀 (なかの・たいが)
1993年2月7日生まれ。東京都出身。2006年俳優デビュー。『バッテリー』(07年)『桐島、部活やめるってよ』(12年)『私の男』(14年)『あん』(15年)などの話題作に相次いで出演。舞台でも活躍する。16年、宮藤官九郎脚本のドラマ『ゆとりですがなにか』の山岸役で注目され、福田雄一脚本・演出のドラマ『今日から俺は!! 』で圧倒的な存在感を示す。近年の主な映画出演作に『アズミ・ハルコは行方不明』『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(いずれも16年)、『ポンチョに夜明けの風はらませて』(17年)、『来る』『母さんがどんなに僕を嫌いでも』(ともに18年)、『きばいやんせ! 私』『町田くんの世界』『タロウのバカ』(いずれも19年)などがある。point 354 | 1

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