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戦時中の恋がテーマの恋愛映画



写真:i2.wp.com

戦時中の恋がテーマの恋愛映画と言われて、往年の映画ファンの脳裏に浮かぶのは「君の名は」です。

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写真:yakudatsujoho.com

近年の大ヒットアニメ映画ではありません。最初はラジオドラマとして人気を博し、のちに映画化され、テレビドラマにもなりました。舞台は太平洋戦争さなかの日本で、東京大空襲の炎のなか偶然出会い、共に逃げまどいながらお互い惹かれ合うものを感じた男女が、銀座の数寄屋橋で半年後の再会を誓って別れます。名前を明かす機会はないままだった二人は、その後何度か約束の数寄屋橋へでお互いの姿を求めますが、わずかの差で会うことが叶わず、やっと会えたときにはヒロイン真知子は人妻になっていたという流れで物語が進みます。スマホでのやりとりが当たり前の平和な平成日本の感覚では、待ち人と会えないということ自体ピンと来ないものになっていますが、この「君の名は」こそ、日本の恋愛映画やドラマでそのご重視されるようになった「すれ違いの切なさ」という要素を、最も効果的に生かしたものとなっています。恋愛という点では、空襲という命の危機が迫る中、初めて出会ってお互い惹かれ合う男女ということで、その段階では愛というより「吊り橋効果」による盛り上がりとも言えますが、人妻となってからの真知子と彼女が忘れられない春樹との恋愛模様そのものは、戦後になっていますので、戦時中の恋がテーマの恋愛映画というには、やや無理があるかもしれません。point 621 | 1

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写真:cdn-ak.f.st-hatena.com

恋愛映画というよりも、ヒロインであるスカーレット・オハラの性格設定の突き抜けぶりとそれに振り回される周囲が大変そうという印象で、戦時中という印象がいくぶん薄めな感がありますが、やはり往年の大作映画「風と共に去りぬ」も、南北戦争に揺れる時代のアメリカが舞台の物語です。

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写真:geocities.jp

この映画に関しては、アメリカ制作されたのが1939年で、太平洋戦争中、まだ勢いがあった頃の日本軍の関係者が鑑賞して、これほどの映画を作り上げる国には勝てないと悟ったという逸話も知られています。こちらも、純粋な恋愛映画として鑑賞するには、ダイナミックな要素が盛り込まれ過ぎな面もあり、テーマとしては決して恋愛礼賛ではないため、戦時中の切ない恋愛ムードを期待して鑑賞するには向かない映画と言えます。スカーレットを演じたヴィヴィアン・リーの激しい美しさや、野性的でダンディなクラーク・ゲーブル扮するレット・バトラーが印象的過ぎて、とにかく素晴らしい大作という印象を抱きますが、冷静に鑑賞すると登場人物全員、どこかしら破綻した性格という点で、戦争が招いた人の心の荒廃が、恋愛にも影を落とすという深淵なテーマも見え隠れする作品と言えます。point 435 | 1

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写真:blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp

戦争が恋愛にもたらす深い悲しみをストレートに表現しているのが、やはり往年の名作「慕情」です。鑑賞し終えたとき、戦時中の恋が、いかに切なくつらいものかが、ひたすら胸に迫る作品です。涙なしには見られないという表現は、まさにこの映画のラストシーンのためにあると言っても過言ではありません。戦争に引き裂かれる愛という点では「ひまわり」も同列で語られることが多いですが、後者は「恋」というよりは「愛」の悲しさを訴える物語と言えますので、戦時中の恋がテーマなのは「慕情」のほうと言えます。point 332 | 1

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写真:i.ytimg.com

古い作品ばかりになったついでに、日本映画では一番最初に制作された「ゴジラ」も、ある意味、戦時中の悲しい恋が作品全体に、一般的な怪獣映画に終わらせない深いテーマ性を与え、その切ない片想いがゴジラを倒すカギとなるという要素にもなっており、映画全体に「戦時中の恋」そのものが、不思議なきらめきを与えています。一度「ゴジラ」を鑑賞している人も、戦時中の恋がテーマの恋愛映画という視点で見直してみるのも一興です。point 271 | 1

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