集英社が月刊で出版している少女マンガ雑誌の王道「りぼん」において、昭和から平成にかけて、ながく、いくつものシリーズに分けられ連載され、幅広い世代から圧倒的に支持されている名作のひとつが、池野恋さんの「ときめきトゥナイト」です。
なかでも、第一シーズンにあたる、一巻から十六巻までは、熱狂的なファンが多く、段階ジュニア世代が子どものころに当たったこともあり、ずっとそのなかに出ているヒーロー役の真壁俊が理想の男の人というひとは多くいます。
池野恋のバランスのよさがよく出ているときめきトゥナイト
写真:くだん書房
「ときめきトゥナイト」が、何部作にもわたり、ヒットし続けた要因のひとつには、作者池野恋さんの、シリアスとギャグの使い分けセンス、単なる恋愛話にしない読みごたえを出せる能力が、おおいに関わっています。
そもそも、「ときめきトゥナイト」は、連載開始当時、りぼんの中ではめずらしく、恋愛話に魔界という設定を加えて、深みを出したものであり、のちのち、魔界設定がヒロインの江藤蘭世と相手役の真壁俊のふたりを、ロミオとジュリエットのように翻弄していくことになります。
この絶妙な設定により、真壁俊という男の子の、純文学的とも言える成長物語としても成立しています。
ただの恋愛マンガにしなかったことにより、魔界と人間界、更には冥界とのいさかいなどにハラハラ市、飽きることがありません。
写真:ガールズちゃんねる
そして、池野恋さんは、ギャグの使い方が上手いので、思わぬところで、正統派の美少女のはずの蘭世が、ギャグの顔になったり、笑いながら読めるので、よけいに飽きません。
この、シリアスとギャグの行ったり来たりは、作者のセンスとしか言いようがありません。
その点で、数ある「りぼん」名作の中でも、異色の名作と言えます。また、正統派の美少女と美男子の描き方という点でも、少女マンガの中でビジュアルの支持の高さも傑出していると言えます。
あまりにもカッコよすぎる完璧男子真壁俊
写真:MANTANWEB(まんたんウェブ)
「ときめきトゥナイト」は、はじめの江藤蘭世の話から、蘭世の弟の鈴世とその幼なじみの話になったり、つぎには蘭世の娘の愛良がヒロインになったりして続いていますが、いちばん人気が高いのが、第一シーズンにあたる、蘭世と俊のストーリーです。
このシリーズは普及の名作と名高く、作者もその後この自らが作った壁を越えることが中々出来ず、苦労したようです。
それだけ初期のときめきトゥナイトが素晴らしいということですが、その魅力には、蘭世の可愛らしさ、他のマンガには出てこないほど十六巻にわたって一度もぶれない一途さがあります。
これほど魅力に溢れながらぶれないヒロインは、少女マンガでは珍しいと言えるくらいです。そして、相手役の真壁俊はその頃から一途に想われるにふさわしい、少女マンガ史上最高とも言われるほどの、外見も内面も完璧にカッコイイ男子なのですから、読みながらまさにトキメキが止まらなくなる人が続出したということです。
写真:mbok. j
続編のヒーローたちも、それぞれにカッコイイのですが、真壁俊というキャラは、ときめきトゥナイトを一度でも読んだ女性の心を何十年もつかんで離しません。
おそらく少女マンガ史上最高に一途なヒロインと、最高にストイックでカッコよすぎるヒーローが味わえるので、ファンは何十年も読み返しています。
まとめ
写真:かきなぐる – Jugem
「ときめきトゥナイト」は、魔界人と人間の恋という、かわった設定を活かして、つぎつぎにハラハラさせてくれ、人間としても異性としても魅力的な登場人物たちが、それぞれの悩みや生きざまを見せてくれます。
単なる恋愛に終始しないので、恋愛マンガがあまり好きでないひとでも読めてしまうのもスゴいところです。
このマンガにハマると、ほかの少女マンガに満足出来なくなる人がたくさんいます。
サブキャラたちも一人として雑に扱われないので、作者の心意気に、大人になってから改めて尊敬の念を抱くファンは少なくありません。