最後の贈り物・・
70年もの時間を、一緒に過ごした夫を天国へ見送る最後の瞬間・・・おばあさんは夫に最後のキスをプレゼントしました。最後のキスを交わした老夫婦の話がインターネットで紹介され、多くの人々が涙を流しました。メディアによると、写真の中の夫婦は若い頃から喧嘩など一度もないおしどり夫婦でした。
おじいさんは生涯、おばあさんだけを想う純情派男性であり、おばあさんもおじいさんにいつも温かい微笑みを見せていました。そんな夫婦の歳月が流れ、病気になってしまったおじいさんは正気を失い、子供のように怒鳴ったりわがままを言うようになってしまいました。
そんな時でもおばあさんは不満を言わず、おじいさんをお風呂に入れたり、ご飯と薬を準備しました。しかし、おばあさんの真心のこもった介護も虚しく、おじいさんの病は悪化していきました。おじいさんには、もう時間が残されていませんでした。
2016年、おじいさんが重患者室でおばあさんの姿をを捜していました。いつもと違って切迫して残念な口調で…。おじいさんの声を聞いたおばあさんは急いで病室に入ろうとしました。しかしその前に、お医者さんが”おじいさんに残された時間はありません”とおばあさんに伝えました。
まだ、おじいさんを天国に送る準備ができていなかったおばあさんの目には、たくさんの涙が溢れていました。病室の中に横になっていたおじいさんは、いつになくはっきりした目でおばあさんを見つめながら“私に最後のキスをしてくれ”と話しました。突然の要求におばあさんは驚きましたが、ゆっくり体をかがめておじいさんの唇にキスをしました。おばあさんがキスをした時、おじいさんは微笑んでいました。“また来世で会おう”これがおじいさんの最後の言葉でした。
おばあさんとおじいさんの息子が、この瞬間を写真に残していました。その後、香港フィルムフェスティバルで金賞を受賞したようです。切なくて美しいラブストーリーの話は、マスコミを通じて公開され、多くの人たちの涙腺を刺激しました。
息子の話によると、おじいさんが亡くなった後も、おばあさんはよくこの写真を眺めているようです。おばあさんはメディアのインタビューで”70年間ずっと一緒に過ごした時間を、どうやって一瞬で終わらせるだろうか。 相変わらずおじいさんが恋しい”と、言葉を残しています。