草津白根山噴火、自衛隊員も死亡…
1月23日に群馬県・草津白根山で噴火が起きました。
被害は１人死亡 １１人重軽傷という状況です。
そんな中、ネット上で、「自衛隊員8人が円陣になって民間人を守り、死亡した」という噂が広まっています。
元国会議員もツイートするなどして、この噂は瞬く間に広まりました。
しかし、この情報が不確かなものであることが分かったのです。
自衛隊員についての噂
ネット上での情報はこうです。
最初の投稿は、噴火直後の午後2時すぎ、インターネット掲示板「5ちゃんねる」（旧2ちゃんねる）の「スキースノボ板」への匿名書き込みでした。
以下全文
「現地からです。
ゲレンデ内の避難は全員完了してます。
たまたま近くに自衛隊が居てくれて助かりました。私たち親子と噴石の間に円陣組んで立ちはだかってくれて、ずっと声を掛けてくれました。
円陣組んでくれた自衛隊の方、1名に石がぶつかったんですが、1度倒れたあと、また立ち上がって私たちを守ってくれました。
本当に感謝です。
避難終えてその自衛官と思われる若いお兄さんがタンカでヘリに乗せられてる所を見たときは涙が出ました。
どうかご無事で。
避難場所に警察官がいましたが、オロオロしてるだけで、機能していません。
自衛官の勇姿を見た直後だけに少し残念です。
今のところ死亡者はいませんが、行方不明者が2人とのことです。
山頂へスキー客が残っていないか、雪上車？で見に行ったパークスタッフ2名と連絡が
取れないそうです」point 347 | 1
この投稿が広まり、元衆議院議員・中津川博郷氏まで1月24日にツイートしました。
内容がこちらです。
草津噴火で自衛隊員8人が円陣を組んで民間人の親子に声をかけながら噴石から守り、その隊員の１人がその後事故にあって死亡した。
しかし報道ステーションはじめメディアはきちんと取り上げない。
メディアは自衛隊員のこの勇気ある行動をあたりまえだというのか？！
報道によると訓練中だった自衛隊員のうち１人が、噴石にあたって死亡したことが伝えられています。
そして、この報道とネットでの投稿があいまって、「円陣を組んでいたのは8人で、うちの1人が死亡した」という内容に置きかわったようです。
自衛隊の回答
陸上幕僚監部広報室の担当者は取材に対し、このように答えています。
「ネット上の情報は把握しているが、全員の隊員から聞き取りできていない以上、それを完全に否定することも、肯定することもできません」
「ただ、聞き取りができる隊員の情報では、円陣を8人で組み、民間人を囲んで噴石から守ったということは、可能性として極めて低いと言えます」
ADVERTISEMENT 引用：Buzzfeed Japan
自衛隊が明らかにした当時の様子はこうです。
訓練中に噴火に巻き込まれた隊員は8人で、噴火直後、隊員たちは林の中に逃げ込みました。
噴石が落ち着いた段階で、麓の隊員に携帯電話で救助を要請したといいます。
現場付近に来たレスキューによりスノーモービルや救助用ソリでピストン搬送され、救助されたということです。
死亡した自衛隊員
さて、実際に死亡した自衛隊員は、どうして死亡してしまったのでしょうか？
報道では詳細が公開されています。
噴火で死亡したのは、陸上自衛隊第１２旅団第１２ヘリコプター隊の伊沢隆行陸曹長（４９）です。
陸自や関係者によると、伊沢さんは２３日午前９時５０分頃、他の隊員７人と共に山頂から滑降を始めました。
約１０分後、本白根山から轟音ごうおんが響き、噴石が降りはじめます。
隊員らは雑木林に避難しましたが、林の中にも噴石が降り注いできたといいます。
伊沢さんは、近くにいた部下を守るように覆いかぶさったのですが、その背中を噴石が直撃したようです。
救助を要請し到着を待っている間、軽傷の２人の自衛隊員が動けない隊員たちに声をかけ続けました。
その時、伊沢さんは「肺が痛い」と訴えたといいます。
救助され、麓に運ばれて救急車に乗せられましたが、車内で心肺停止となり、死亡が確認されたとのことです。
部下を守った伊沢隆行陸曹長は、死亡後、３等陸尉に特別昇任しています。