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DQNの川流れ「玄倉川水難事故」が提起した川遊びの安全性について


毎年のように、川の事故が発生し、多くの人の命が失われています。しかし、こうした川の事故は酒を飲んだ人が川の中に入ったり、溺れている子供を助けようとしたりする際に自らが溺れてしまい亡くなるというケースが多く、川遊びに来た人たちの多くが一斉に被害に遭うようなことはほとんどありません。

 


写真:dailymotion.com

しかし、1999年の8月に起きた玄倉川水難事故は、まさに川遊びに来た人たちが被害に遭い、大勢の人の命が失われてしまいました。この時に問題となったのは、危険が迫っているにもかかわらず、避難しようとしなかった被害者たち、そして、避難の情報の出し方、そして気象に関する伝え方などでした。

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写真:blogs.yahoo.co.jp

玄倉川は急なガケ、山の間を流れる川であり、降水量の多い地域でした。そのため、雨が降ると水かさが一気に増すような条件を有したところであり、危険が付きまとうところでもありました。事故のあった地点から少し離れたところに玄倉ダムがありましたが、このダムは取水用の堰であり、大雨の時に雨をたくさんため込んでおけるようなものではありませんでした。そして、被害者が流されるまで立っていたエリアは砂が堆積してできた場所であり、雨の日になると水没しがちな場所となっていました。しかも、このエリアはキャンプの指定地ではないことも明らかになっています。point 341 | 1

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写真:nicoten.web.fc2.com

雨が降り始め、その20分後にはダムの職員が避難を呼びかけ、ほとんどの人は退避したものの、その一行だけがその声を無視し、その4時間後、ダムの放流の予告となるサイレンを流した後、再びダム職員がその場を訪れ、退避を求めるも再び拒否をされ、一部の人は避難をするなどしたものの、一行の大部分はそこに残り、警察官からの応答にも大丈夫であると突き返し、川の流れが急になっているにもかかわらず、避難はしませんでした。その後、夜となり、朝になると、前夜に避難した一行のメンバーが呼びかけるも応答がありませんでした。この時ならまだなんとか避難をすることができる状況だったことが指摘されています。point 365 | 1

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写真:dailymotion.com

そして、中州が水没し、テントが流される段階で一行はようやくその深刻な事態に気付いたものの、この段階での自力の脱出は無理であり、レスキュー隊が到着したころには、色々な手を尽くしても助け出すことはできず、力尽きて流されていき、結果として13人の尊い命が失われました。この時、レスキュー隊に対する被害者からの罵声がひどかったことから、こうした事件ではありがちな悲劇の主人公という形での取り上げ方はあまりなされず、なぜこれだけの警告があったのにそれを無視し続けたのかというところに議論が集まったのも玄倉川水難事故の特徴です。point 332 | 1

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写真:tmkzogw.moe-nifty.com

この時の教訓として、中州でキャンプをするような行為は危険であるということ、そして、こうした危険を伴う場所はいくらでも存在することがわかります。そして、再三の警告に対し、それに応じない場合には強い措置をとってもいいのではないかという議論も巻き起こりました。中州に取り残されるケースは今でもありますが、再三の警告があっても無視して残ったケースではなく、急激な雨で急激に水かさが上がったための事故がほとんどです。ただ、急激な雨が降れば、非常に危険な状態になるという認識は今の時点でも認識が高まっているとはいえません。point 335 | 1

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写真:mag.weathermap.co.jp

玄倉川水難事故を契機に、それまで、弱い熱帯低気圧という表現をしていた気象予報も改められ、弱い、小型などの表現で台風が語られることもなくなりました。こうした悲劇が起きるたびに気象予報も改善され、危険な状態であることがすぐにわかる状況となっています。情報の出し方も改善されるなど、川遊びの安全性は増しているように見えますが、結局は川遊びをする人たちの判断となってしまいます。

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