もやしという食材は、廉価で手に入れられる上に栄養価も高い万能といえます。もやしと一言でいっても種類はいくつか有り、誰もが知っているもやしは緑豆のものや黒豆を使って作られています。そんなもやしのなかにひと際目立つのが、大豆もやしです。独特の香りがあり、大豆がついたままの姿は調理をしても目を惹く存在といえるでしょう。では、大豆もやしと緑豆もやしには違いなんてあるのでしょうか。どうせもやしなんだからと、ばかにしたものではありませんよ。
もやしは地中海からやって来た
写真:もやし生産者協会
もやしが日本に伝わったのは、弥生時代の後期とされています。なんと伝来したときには薬として考えられ、その後も1718年に刊行された百科事典には乾燥させた黒大豆もやしを煎じて飲むことで、痺れや膝の痛み、さらに筋肉の強張りを治すと記載されています。
もやしの材料となるスーオスーオの違いによって、栄養やゆで方などにも違いが見られます。緑豆もやしと大豆もやしには共にビタミンB1やB2・ビタミンC、それにアスパラギン酸や葉酸、食物繊維・タンパク質・カリウム・カルシウム・マグネシウムなどを含んでいます。ただ、大豆もやしと緑豆ではそれらの含有量に大きな差が生まれます。まず、ビタミンやミネラル・タンパク質は大豆もやしが緑豆もやしの2倍から3倍の含有量を持ちます。特にビタミンKに関しては緑豆もやし3μgに対して、大豆もやしには57μgもの栄養成分が含まれています。
写真:もやし生産者協会
また、緑豆には含まれない大豆だけが持つ栄養素「イソフラボン」と「サポニン」も、大豆もやしには含まれています。大豆に含まれるイソフラボンは体内に摂取されると女性ホルモンと同じ効果を与え、骨粗鬆症の予防や女性の更年期障害を和らげる働きをしてくれます。一方のサポニンは苦みやえぐみ成分ですが、肥満や生活習慣病の予防に一役かってくれる頼もしい存在です。
もやしの栄養をそのまま食べる
写真:うったんの、幸せタイム。
せっかく効果の高い栄養素も、調理方法によって殆ど失ってしまっては元も子もありません。緑豆もやしには唯一ビタミンCが大豆もやしよりも多く含まれています。それを逃してしまっては勿体ないので、茹でる時間は沸騰したお湯に10秒から15秒で完成です。緑豆もやしには特にクセのある匂いもなく、シャキシャキとした食感を楽しめる食材でしょう。
ですが、大豆もやしは大豆の大きさにもよりますが、茹でる時間を1分から5分必要とします。茹でる時間を短くすると、大豆の青臭さや豆の食感が良くありません。問題は茹でることで栄養分が流れ出てしまうことでしょう。カリウムは生ならば160mgなのに茹でると50mgに減ってしまいます。葉酸は85mgだったものが39mgと3分の1程度にまで減少してしまいます。
写真:Naverまとめ
大切な栄養成分を減らさないように、調理方法は茹でる以外にしてください。大豆の歯ざわりを感じられる炒め物にしたり、栄養の沢山含まれるスープごと食べるようにお味噌汁や鍋物の具材とすることが賢いもやしの使い方ではないでしょうか。さらに、もやしと一緒に摂る食材でもっと効果を高めることもできます。例えば、疲労回復には卵や豚肉、それに納豆や海苔を摂ってください。胃腸の調子を整えたいなら、もやしと大根や蕪・白菜・レンコン・鶏肉を使いましょう。
まとめ
写真:NADECICA(ナデシカ)
安くて栄養価の高いもやしは、万能食材だとお分かりいただけましたか。どんな食材と合わせても負けることなく、互いの味を惹き立ててくれるありがたい存在なのです。大豆もやしには中高年の敵である悪玉コレステロールを減らしてくれる「レシチン」や、血中コレステロールを下げる働きをする大豆タンパクも含まれています。動脈硬化や高血圧が気になりだした貴方の為に、美味しいもやし料理を食卓に1品足してみてはいかがですか。