2014年の春に、ビットコインを始めとする仮想通貨の取引所であるマウントゴックスが破綻したというニュースは記憶に新しいところです。それ以前は仮想通貨というものの存在は一般的に知られていたものではなく、IT業界や金融業界で話題になっている程度でした。しかし、マウントゴックスの破綻騒動によって一気に知名度が上がり、今では一般紙やテレビのニュースでも目にする機会があります。破綻騒動から3年以上が経過したいま、ビットコインは意外なほど盛り上がりを見せているのです。
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そもそも、マウントゴックスの破綻騒動は仮想通貨に詳しくない一般の人にとってビットコインそのものが破綻したと誤解されていた面があります。しかしそれは誤りで、破綻したのはビットコインではなくビットコインなどの仮想通貨の売買を行う取引所です。取引所が破綻したために預けていた仮想通貨を引き出すことが出来なくなったことでユーザーが損失を被り、大きなニュースになったのです。
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仮想通貨は本来、取引所によって売買するものではなくマイニングという作業を行ってその報酬として手に入れるものでした。マイニングとは仮想通貨の取引記録を認証する作業のことで、コンピューターを用いて行われます。
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しかし、ビットコインは仮想通貨の中でも人気が非常に高く、マイニングを行う個人が増え、さらに企業が圧倒的な資金力を背景にマイニングに参入したことでマイニングを成功させるのが非常に難しくなってしまったのです。ビットコインは発行上限に近づくごとにマイニングの難易度が高まるためより高性能なコンピュータが必要になります。個人は一般のパソコンパーツとして流通しているパソコンとグラフィックカードを使ってマイニングを行っていましたが、企業はASICと呼ばれる高額なマイニング専用のハードウェアを導入したために個人が太刀打ちすることが出来なくなったという経緯があります。
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そこで、ビットコインを始めとする仮想通貨を入手したい個人は取引所で日本円や米ドルなどと交換する、つまり売買を行うことによって入手することが当たり前になりました。大手取引所の一つだったマウントゴックスは破綻してしまいましたが、その後も数々の取引所が立ち上げられ、現在では仮想通貨市場が活況を呈しているのです。取引が行われているビットコインはウェブサービスの決済などに利用できるようになったことで価値が高まり、バブルと言われるほどの状態になっています。破綻騒動があった2014年はビットコイン1枚あたりレートが日本円で8万円程度でしたが、2017年現在では70万円を超え、80万円にも達するほどの勢いで上昇を続けています。わずか3年で10倍近い価値を持つようになるという日本円や米ドル、ユーロではあり得ないバブルが発生しているということです。
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しかし、最近はその上昇に水を差す話題が増え始めています。話題の中心は中国です。ASICを用いたマイニングを行っているのは中国の企業が多く、その理由は電気代が安いことでパワフルなマイニング専用ハードウェアを24時間にわたって稼働させ続けていてもコストが安く済むためです。しかし、中国当局はビットコインの規制に乗り出しているのです。中国の銀行が仮想通貨を扱うことを禁止したり、中国元とビットコインの取引を停止させるという規制に加えて、新しい仮想通貨を発行することも禁止されました。この規制は可逆性があり、過去に新規仮想通貨を発行して得た利益を返却することを求められる厳しい措置です。マイニング業界の大きなシェアを占める中国で規制が行われることにより、今後のビットコインを中心とした仮想通貨の動きに注目が集まっているのです。