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映画『かぐや姫の物語』のキャッチコピー「姫の犯した罪と罰」はどういう意味?


映画「かぐや姫の物語」は日本古来の伝奇物語「竹取物語」を原作にし、独特なタッチで描かれたスタジオジブリの長編アニメ映画です。2013年11月23日に公開されました。
このアニメ映画は1999年のアニメ映画「ホーホケキョとなりの山田くん」を手掛けた高畑勲監督が14年ぶりに指揮を執った事や8年という制作時間と50億円を超えた製作費など公開前から話題が尽きない作品でしたが、そのうちの1つに「姫の犯した罪と罰」というキャッチコピーがあります。これは公開されても作中で明言されなかったため、多くの人がネットで自分の考察を展開しました。それらをまとめながら姫の罪と罰の意味を考えていきます。

 

一般的な「かぐや姫の物語」の罪と罰とは


写真:隠居系男子

作品を鑑賞した人たちは物語を振り返りながら、かぐや姫の罪と罰を考察しました。
その考察は数えきれないほどありますが共通している点もあります。
それらを簡単にまとめると姫の罪は「地球に憧れた事」、姫の罰は「地球で暮らす事」です。

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写真:aminoapps.com

そもそも姫が月から地球に来たきっかけは「禁断の地である地球に憧れた」と物語のラストで語っています。
月では地球は「穢れた土地」だと考えられている描写があり、それはラストで登場した月の女官によって強調されました。

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写真:ameblo

彼女は育て親の翁と媼との別れに悲しむ姫に「月に戻れば心を乱さない。地上の穢れも拭い去れる」と言って地上の記憶を失う天の羽衣を姫に着るようにうながします。

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この物語の流れを踏まえると姫の罪と罰はあくまで月の住人たちの世界のルールである事は明らかです。
そうなると「穢れた土地」こと地球に憧れた事は確かに月の住人としては罪かもしれません。

それなら罰の「地球で暮らす事」は「地球に憧れた」姫にとって喜ばしい事だと考えるのが順当ですが、作中で姫は途中まで自分を月の住人という事を忘れていました。
その間彼女が体験したのはストレスを感じるものばかりです。

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写真:k.onodera 小野寺系の映画批評

そのストレスに耐えられず「ここにいたくない」と月に助けを求めてしまいます。

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写真:Yahoo!ブログ

結果として自分の事を思い出しましたが、姫は涙に暮れて「月に助けを求めた事を後悔している」と語っています。

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写真:アメーバブログ

何しろ他ならない地球に憧れた姫自身が地球の暮らしを否定したのです。罰としては十分すぎるものだと言えます。

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他にもこんな考えがある、かぐや姫の罪と罰


写真:M-World

一方で違う考え方もあります。

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「そもそもキャッチコピーは観客を呼び込むためのトリックであって深い意味はない」という意見から「月の住人が阿弥陀聖衆来迎図をそのまま描いているあたり、仏教の教えに合わせてみると姫は解脱というハッピーエンドを迎えているのではないか。ただし現世に生きている私たちからすれば物語で感じられる感情を失う怖さも相まって解脱できないという現実を突きつけられているだけだが」という意見、さらには「高貴な人間に身の丈の合わない人生を送らせるのが罰だったのではないか」という意見など様々です。point 236 | 1

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他にも姫の罪は「感情に憧れた事」、罰は「感情を知った事」だと指摘する意見もあります。

月の住人が言っていた「地球イコール穢れた土地」という常識の源は欲を生む感情であり、その感情を抱くことに憧れた姫が感情の生々しさを知る事が罰であるという考えです。

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写真:Niconico

実際に「かぐや姫の物語」のラストでは天の羽衣を通して心と地上での記憶をなくしたはずの姫が遠ざかる地球を見て涙を浮かべるシーンがあります。
もしそうだとしたらラストのシーンは月に帰った姫はこれからも罰を背負うという暗示に他なりません。

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あとは「美しい姫が地上で起こした騒動が罪で、その際に感じたストレスが罰ではないか」という意見もあります。
この意見もまた説得力を感じるものです。

 

まとめ


写真:aonyxnext.webcrow.jp

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「かぐや姫の物語」の作中では姫の罪と罰は明言されませんでした。
それを踏まえると結局、キャッチコピーの「姫の犯した罪と罰」は鏡であると言えます。芸術にはこれといったテーマや美しさがないにも関わらず心を揺さぶる作品が数多いです。それは見ている人の心を映し出して自覚させるからだと言われています。

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写真:ニコニコ静画

例えばフリーゲーム「ゆめにっき」という作品は明確なストーリーはなくただ夢の世界を巡るだけのゲームですが、大ブレイクしました。それは「ゆめにっき」が多くの部分をプレイヤーに委ねたからだと囁かれています。

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つまりキャッチコピーの「姫の犯した罪と罰」は作品を鑑賞した人が定義するものだという事です。