今月10日にアフリカ西部のマリから、なんとも非人道的なニュースが飛び込んできました。武装集団がドゴン(Dogon)人の村を銃撃し、95人が死亡したことを地域関係者が明らかにしたのです。だた、死者数は今の時点で把握できる数だということで、今後さらに増える可能性があるとみています。
襲撃を受けたのは、マリ中部のクンドゥ(Koundou)地区にある村で、一晩にわたって襲撃を受けたということです。クンドゥ地区の関係者によると「これまでのところ、民間人95人が死亡した。遺体は焼かれており、現在も遺体の捜索を続けている」と現場は残虐的な状態であったことを明かしています。また治安当局は虐殺された現場に入り、調査を行なっているようですが「事実上、ドゴン人の村1つが消滅した」と話しています。
また事件の情報を集めていた地元当局者は、匿名を条件に取材に応じた人がいたことを明かしていて、その人によると「約300人が暮らす村に襲撃者らがやって来て 銃撃と略奪、焼き討ちを開始した」と話していたそうです。
この地域では、今年の3月にもイスラム過激派の説教師アマドゥ・クーファ(Amadou Koufa)師が率いる主に牧畜民族フラニ(Fulani)人を標的とした、武装集団がその村を襲撃しています。国連の発表によると、女性や子どもを含む134人が死亡し、55人の負傷者が出ていたということです。
国連によると、フラニ人はイスラム過激派とのつながりを非難されるなどして、繰り返し襲撃の標的となっていました。
この事件を受けて、マリ政府は、襲撃者を捕らえて法にのっとって処罰するために最大限の努力を行うことを誓っていて、その後、ドゴン人によって構成された、自衛組織を名乗る集団の解体を宣言していました。
しかし、この事実を知ったフラニ人の武装集団グループが、バンバラ(Bambara)人やドゴン人を標的とし、報復するために今回の襲撃事件が勃発しました。
マリには約300万人のフラニ人がおり、伝統的な遊牧民で、大部分がイスラム教徒を信仰しています。そして、バンバラ人とドゴン人は伝統的な農耕に携わってきた民族だということです。
マリ政府は3月の虐殺事件の後に「人々を保護し、社会的な一体性を生み出すための条件を整え、国の和解を促す取り組みを引き続き進める」と宣言していたにも関わらず、民族間の報復の連鎖によりさらなる悲劇が起こってしまいました。
この報道を受けてネット上では、「むごい」「武器の扱いはどうなってるんだろう?なぜ正規軍以外の集団がこうも簡単に武装できるのか不思議でならない。」「戦争を起こしたいお金持ちがバックにいる限り、絶対に戦争は無くならない。」「殺戮は野蛮以外の何物でもない。」「なんという恐ろしい話。」などのコメントが寄せられています。