中国の江蘇省の化学工場で大爆発が起き多数の負傷者や亡くなっている方が出ているというニュースが入ってきました。しかし、情報が開示されず爆発の詳細は分かっていません。このように、中国が事故などのニュースを公にせず、ひた隠しする理由は一体何なのでしょうか。

工場大爆発

中国東部江蘇（Jiangsu）省の塩城（Yancheng）市にある化学工場で起きた大規模な爆発の犠牲者は２２日、４７人にもなりました。工場からは黒い煙が上がって火災となり、近隣の住宅も爆風で窓が吹き飛ぶなど、広い範囲で被害が出ました。李強市長は、事件の犠牲者は４４人、１６つの病院に負傷者９０人が入院していると発表しました。３２人が重体となっているようです。

工場からおよそ１キロのところには小学校と幼稚園があり、子どもたちもけがをしたとみられています。中国SNS微博には、現地住民が撮影したとみられる爆発当時の映像や画像が多数掲載されました。道路に倒れこんだ女性、負傷して血を流す子供や男性の衝撃的な姿が映っています。爆発では４キロ離れた建物の窓ガラスが割れ、金属製のドアも変形したという。自宅の窓がすべて吹き飛んだというから、どれほど大きな爆発だったかということが分かります。point 266 | 1

工場は地元企業が運営し、３００人弱の従業員が、ベンゼンなど化学薬品を生産しています。地元当局者によれば、現場の工場では可燃性のアニソールなどの化学品原料を主に製造していました。周辺地域で異常な濃度のトルエン、キシレン、ベンゼン、アセトン、クロロホルムは検出されていないとする声明を発表しています。point 204 | 1

詳細は闇へ

上記の概要はニュース等で報道されていますが、詳細は伏せられています。地元政府は爆発の原因については調査中としていて、工場の責任者などから事情を聴いています。爆風で窓が吹き飛んだとみられる住宅の映像が次々とアップされているが、地元当局は、まだ犠牲者等の情報を発表していないのです。今の状態では「現在、現場での救助活動が続けられている…事故原因については捜査中」だとしているだけなのです。point 203 | 1

今後発表が予想されていますが、以前の大事故では結局詳細は闇の中で終わっています。８月に中国・天津で起きた大爆発事故がありました。習近平政権は厳しい報道管制を敷き、現場で何が起きたのかはほとんど伝わってこなかったのです。事故後、倉庫会社社長や市政府幹部ら２０人以上が拘束されたが、原因ははっきりしていないままです。さらに、中国国家インターネット情報弁公室（Cyberspace Administration of China、CAC）により、１６日までに計５０のウェブサイトが閉鎖され、ソーシャルネットワークサイトは３６０個のアカウントを凍結したのです。point 327 | 1

さらに以前には、中国浙江省温州市の甬台温線（杭福深旅客専用線の一部）で、２０１１年７月２３日２０時３４分頃（中国標準時）に発生した中国高速鉄道の衝突・脱線事故がありました。犠牲者は４０人にも上りました。この時、脱線・落下した６つの車両は満員時には６００人乗れることになります。しかし、新華社の数字に基づいて計算すると、６００－２１１（負傷者数）ー３５（犠牲者数）＝３５４人になるのです。この３５４人はどこに消えたのでしょうか。なぜ慌てて埋めたのでしょうか。中国内でも事故車両が現場で埋められる対応に疑問の声が上がったようです。point 263 | 1

なぜ隠す？

では一体なぜここまで事故を隠蔽しようとするのでしょうか。事故のたびに多くの犠牲者が出ている状態です。中国国民は何より原因究明を望んでいます。北京でも上海でも、同じような不法な危険物の大量貯蔵があるとされるからです。point 224 | 1

中国が導入を進めている社会信用システムは、独裁的国家による監視の強化につながると見られているようです。国民の思想を管理するという統治が中国の特色だからなのです。事故なども国民の不満の原因となるので隠すということでしょうか。諸外国とわたり合える立場になるまでは、自国の努力を外国に気づかれないようにし、他国に対する体裁を守るためなのかもしれません。