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【薬物治療不要】訓練次第で高齢者の認知機能を高められる!


高齢化は日本だけではなく、世界中でも高齢者の数は増加傾向にあります。そんな高齢化社会の大きな医療課題として、まずは薬物治療に頼らずに加齢による思考力や判断力の衰えを防ぐということ。軽度認知障害(MCI)は、アルツハイマー病など認知症の初期にみられ、軽度の記憶損失や、簡単な作業がこなせないといった症状を伴い、抑うつや不安症状を示すことも多いです。もし、薬物治療に頼らずに認知機能を高められる方法があれば、とってもいいことですよね!


写真:athome-kaigo.jp

カナダの研究チームは、この世界初の研究において、認知機能訓練により薬物を使わずに患者のMCIを改善できることを実証しました。MCIのある高齢者であっても、学習によって新しいメンタルスキルを覚え、それを使うことが可能であったそうです。本研究では、カナダ記憶クリニックからMCIのある72歳以上の145名が集められ、介入内容によって3群に振り分けられました。参加者は4-5人ずつの小グループに分かれて群ごとに異なる訓練を毎週120分、8週間にわたって受けました。3群の介入内容は以下能通りでした。point 314 | 1

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写真:ninchishoyobou.com

●MEMO(認知機能訓練)群では、参加者はMEMOプログラムに参加し、記憶力と注意力を改善するための特殊な訓練を受けた。

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●心理社会訓練群では、参加者は一般的なウェルビーイングを改善するような介入を受けた。自分の人生ポジティブな面に焦点を当てることと、ポジティブな状況を増やしていく方法について学習した。

●対照群では、参加者は研究者らに接触せず、なんの訓練も受けなかった。

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写真:hdebranding.com

145名中訓練を最後まで受けたのは128名であり、6か月後の追跡調査まで完了したのは104名でした。研究者は、「MEMO群参加者は、訓練終了後、記憶力検査の成績が35-40%上昇しました」とし、「最も重要なことは、6か月後でも参加者はその成績を維持していたことです。」と語りました。訓練の効果は、「遅延再生」と呼ばれる、覚えたことを一定時間経過後に思い出す能力が低下している高齢者で、最も大きな改善がみられました。これは、いくつかの単語を記憶してもらって、10分後にそれを思い出すことによって測られます。遅延再生は、アルツハイマー病の最も初期の兆候のひとつであることから、これは意義のある発見といえるでしょう。point 373 | 1

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写真:sodan.e-65.net

MEMO群参加者らは、後のインタビューで、受けた訓練を追跡期間中の日常生活における学習に用いていたと答えています。これらの研究に際する訓練には、物事を思い出させるそれまでの方法とは別の方法を教える効果があったともいえるでしょう。このようにして、そういう日々の学習が、8週間の介入終了後も彼らの記憶改善効果を維持する役に立ったのだろう、と研究チームは推察しています。残念ながら、心理社会訓練群には、何もしなかった対照群と同様に、記憶力を改善する効果はみられず、気分障害を改善する効果もなかったそうです。point 317 | 1

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