大阪府警捜査1課は17日、同府貝塚市の無職男(33)を自宅で女性ヘルパーらに、わいせつ目的で睡眠導入剤を飲ませたとして、準強制わいせつ致傷容疑で書類送検しました。男は容疑を認めているといい「身体に触りたかった」と供述しています。
今年7月、貝塚市内の団地に暮らす男性宅を介護に訪れた20代の女性が、帰宅しようと車を運転中に眠気に襲われ、民家の外壁に衝突。打撲などの軽傷を負いました。女性は急に眠たくなったことを不審に思い、府警で申告し尿検査したところ、睡眠導入剤が検出されたのです。
府警が男を内偵捜査始めようとしていた矢先の8月に、次なる事件が….。男宅を訪ねた28歳の知人女性が酒を飲んだ後、昏睡状態に陥ったのです。そこへ、男宅を出入りしていた別のヘルパーが女性を発見し、警察に通報。男は駆けつけた捜査員に、“犯行”を認めたのです。
もともとその男は鳶(とび)職だったそうですが、今から5年前、仕事中に転落事故に遭ったようです。その時に頚椎を損傷し、それ以降、手足が不自由で食事も排泄も一人ではできず、日常的な介護が必要な状態となってしまいました。しかし、男はそんな生活を送りながら犯行に及んでいたのです….
。府警担当記者は次のように話しています….
「何らかの手段を使ってネットで健康ドリンクを取り寄せ、一方で睡眠導入剤の処方も受ける。その二つを用意したうえで、好みの女性ヘルパーが来訪した際、“これはセット。混ぜて飲んでみて”と勧めるのです。相手は20代の美人ばかり。何人もが件(くだん)のドリンクを飲まされて4名が昏睡。8月の事件では知人女性に特製カクテルと偽って“グレープフルーツ味だからちょっと苦いよ”などと安心させて飲ませていた。彼女は病院で2日間も昏睡状態が続き、いまも通院生活を強いられています」
男は「触りたかったから」と供述していますが、男の障害の度合いを考えると、実際に触ったかどうかは不明だといいます。かつての男は妻と3人の子どもがおり、仕事熱心だったようです。人の何倍も働くいい職人で、3人の子供をいたく可愛がっていたそう。地元のだんじり祭りでは山車の上に乗る花形を務めるなどしましたが、事故で人が変わってしまったと、近隣住民がいいます。
男が兄のように慕っていた職場の親方は、事故以降、男の妻子を食事に連れていくなどし、一生懸命面倒を見てくれていたそうです。しかし、男は2人の仲を疑い出し、最後には探偵まで雇い親方相手に裁判も起こしたそうです。
入院中に妻とは別居。ついには見舞いに訪れる人もいなくなったそうです…。しかし、2年半の入院とリハビリを経て、車椅子で外出できるまでに回復。最近は地域の自立支援センターで同じ障害を持つ人との交流も得ていたそうですが、今回の事件でその仲間も失ってしまいました。
府警は男が勾留に耐えられないと判断し、準強制わいせつ致傷容疑で書類送検しました。事故で体の自由が利かなくなったとは気の毒な事情ではありますが、それと犯罪とは別の話。ただ、障害者も健常者と同様に性的欲求はあり、その解消方法が難しく苦しんでいる人は少なくないと言われています。今回のような被害を防ぐには、同性による介護を行うことが対策の一つなのかもしれません。