人間が何も考えずに捨ててしまうゴミ。そのゴミが原因で、命の危機に陥る海の中の小さな生命体の姿が今、環境汚染に警鐘を鳴らしています。
ある写真共有サイトは、巻貝類の殻を家としている「ヤドカリ」の今の現状を伝えています。そこで公開された写真には、2016年、沖縄に住んでいるショーン・ミラーさんが、海岸を歩いている時に撮影したものがアップされています。
小さいヤドカリが、ペットボトルのキャップに、自分の体を詰め込み、そこに住んでいる姿が、とても印象的です。この姿に衝撃を受けたショーンさんは、その後、全世界の海岸を回り、どれほど多くのヤドカリが、このような「ゴミの家」に住んでいるのか、観察を始めました。
ペットボトルのキャップはもちろん、ガラスコップ、ボールペンのキャップなど、様々なゴミを家にして住んでいるヤドカリが、とても多く発見され、その数は想像をはるかに超えるほどでした。
ヤドカリは天敵から自分の軟弱な腹部を守るために、巻貝の殻に付着して活動します。しかし時には、殻の数が不足する時こともあり、そういう時は、ヤドカリは他のヤドカリと競い合って、命がけで殻を手に入れます。それほど、この殻は彼らにとって重要な「家」なのです。 しかし人間が作り出して捨てたゴミのせいで、ヤドカリは本来の家を完全に忘れ去り、ゴミであふれかえった新しい環境の中で生きて行くための適応を、余儀なくされているのです。
ショーン・ミラーさんは、こう訴えています。「人間に環境汚染に対して警告したい!この可哀相なヤドカリを通して、もっとたくさんの人が、自然に対して関心を持ってほしい」
無情にも、全世界では毎年64万トンの海洋ゴミが発生しています。多くの海洋生物がこのゴミを体に摂取してしまい、命を落としてしまっています。
今も、海で苦しむ生物たちの悲鳴が聞こえてきます。