あるオンラインコミュニティ上では、過去のニュースがちょっとした話題になっています。
過去、2017年の出来事。イタリア人医師セルジオ・カナヴェッロ氏はウィーンで開いた記者会見で、中国の医療チームとともに、脳死の身体提供者2人で試みる世界初の「ヒト頭部移植」に「成功した」と発表しました。
当時のツイートによれば、『ロシア人患者の頭部を脳死の身体提供者に移す手術に成功。イタリア人医師は「人間の生活においても変革が訪れている」と述べた。』ということです。
5000RT：【衝撃】世界で初めてヒト頭部移植に成功 伊中医療チームが発表https://t.co/0gvBXAf42g
ロシア人患者の頭部を脳死の身体提供者に移す手術に成功。イタリア人医師は「人間の生活においても変革が訪れている」と述べた。 pic.twitter.com/p8F4hYl5Hq
ADVERTISEMENT — ライブドアニュース (@livedoornews) November 22, 2017
脳死とは、事故や病気などで脳の働きが失われたけれど、他の体の器官の働きは保たれている状態のことを指します。ツイートからは、病気によって体が動かせなくなった人の頭部だけを切り離し、脳死した第三者の体にくっつけることに成功した、と読み取れますが、本当なのでしょうか？
頭部移植手術はカナヴェッロ医師の共同研究者・任暁平医師の医療チームとともに中国黒竜江省ハルビン医科大学で行われたといいます。
医療倫理上の問題から、欧米での手術は行えなかったということで、「約18時間もの手術で、私とチームは死体の頭部を別の死体の脊椎・血管・神経とつなげることに成功した」とカナヴェッロ医師は会見で述べました。
また頭部移植の成功について「医学だけでなく人間の生活においても変革が訪れている」と自負。カナヴェッロ氏の頭部移植プロジェクトは2015年、ロシアの下半身不随のプログラマーが手術を希望すると申し出て、注目を集めたものです。
任暁平医師は当時イタリア紙インタビューで、提供される身体（ドナー）は中国人なのか、どのような人物なのかとの質問に、回答を避けたといいます。
ただ、世界初となる東部の移植手術は多くの注目を浴びる一方で、「移植手術」ではなく「（頭部移植手術）初のモデルケース」としており、実際の移植手術の成功には程遠いとの考えを示しています。
「中国は医療分野においても世界一の超大国にしたいと考えている。米国の医療機関やセンターはこれを求めておらず、米国政府が（頭部移植手術を）支持する意向はない」と述べ、医療チームは、この頭部移植の名を「天国（HEAVEN:TheheadanastomosisventureProject、頭部吻合の挑戦的プロジェクト）」と名づけているそうです。
頭部移植については生命倫理の観点から物議をかもしているようです。一方、ある意味で医学の発展の一方向を示しているのかもしれませんね。
ただ、まだまだ研究途上の段階です。新しい研究が出てきたことで、「いますぐにでも、頭部移植が可能」というような印象が広まり、十分な準備や議論なしに本当に生きている人を対象に行われれば、取り返しのつかない事故につながる危険性もあるでしょう。