蔵王山で火山性微動

今月３０日、宮城県と山形県にまたがる蔵王山で火山性微動が確認されました。

２８日から続けて確認されていることから、気象庁が「火山活動に高まりがみられる」として注意を呼びかけています。

蔵王山は、東北地方の中央を南北に連なる奥羽山脈に位置しています。

熊野岳（標高1841メートル）、刈田（かった）岳（1758メートル）などから構成される連山です。

仙台管区気象台によると、28日夜に山頂の南西約5キロの観測地点で11分間の火山性微動を観測しました。

さらに３０日には、午前0時44分に13分7秒の微動を観測したといいます。

さらに、火山性地震は28日から３０日朝までに3回発生しているとのことです。

火山性微動とは、マグマや水蒸気が火山の地下を移動したり，沸騰して気泡が発生することなどによって起こる地表の微弱な振動のことで、蔵王山で観測されたのは、2017年4月3日以来だといいます。

さらに、２８日以降、山頂の南東側の斜面が隆起する地殻変動も続いていると報告されています。

気象庁によると、気象庁の監視カメラでは微動発生時の状況は分かっていないといいます。

火山上空に雲が厚く立ち込めているためだということです。

しかし、馬の背カルデラ内の丸山沢や振子沢では噴気や火山ガスの噴出が確認されているとし、「火山活動に高まりがみられる」として、今後の火山活動の推移に注意するよう呼びかけています。

噴火警戒レベルを火口周辺規制のレベル２に引き上げています。

小規模な噴火の可能性があるといわれており、火口域から１~２キロの範囲で噴石に警戒が必要だということです。

草津白根山噴火

１月２３日には、群馬県の草津白根山で噴火がありました。

噴火は２３日朝１０時頃に発生したといわれています。

この噴火により近くで訓練をしていた自衛隊員１人が死亡しています。

さらに２３日当時、けが人は１２人におよび、そのうちの２人が重体、３人が重傷でありました。

草津白根山の近くにある草津国際スキー場では噴火の影響でロープウェーが止まり、利用客がゴンドラ内に宙吊りの状態で閉じ込められる出来事もありました。

ゴンドラの「山頂駅」には、およそ８０人が取り残されていたといいます。

閉じ込められた人は無事に全員、救助されました。

草津白根山噴火での被害

草津白根山の噴火では死者が１人出ています。

死亡したのは自衛隊員の伊沢隆行陸曹長（４９）です。

関係者によると、伊沢さんは２３日午前９時５０分頃、他の隊員７人と共に山頂から滑降を始めました。

約１０分後、本白根山から轟音ごうおんが響き、噴石が降りはじめ、隊員らは雑木林に避難しましたが、林の中にも噴石が降り注いできたといいます。

伊沢さんは、近くにいた部下を守るように覆いかぶさったのですが、その背中を噴石が直撃したようです。

救助を要請し到着を待っている間、軽傷の２人の自衛隊員が動けない隊員たちに声をかけ続けました。

その時、伊沢さんは「肺が痛い」と訴えたといいます。

救助され、麓に運ばれて救急車に乗せられましたが、車内で心肺停止となり、死亡が確認されたとのことです。

部下を守った伊沢隆行陸曹長は、死亡後、３等陸尉に特別昇任しています。

また、ゴンドラに閉じ込められた草津国際スキー場の利用客が撮影した動画も話題となりました。

1月23日の草津白根山の噴火直後に、複数のスキー客が宙吊りのゴンドラに一時閉じ込められてしまいました。

そんな中、ゴンドラに閉じ込められた利用客の1人が、その緊迫した様子を動画におさめていました。

動画を撮影していたのは、28歳の男性とその妻、男性の兄の3人です。

動画は、焦った様子の男性が無線で「白根が噴火しました。僕ロープウェーで今、間近で見てます！」と報告する様子から始まります。

無線の相手が「今どこにいますか？」と尋ねると、「僕らゴンドラの中にいます、中に乗っています。早く助けに来てくれないと！」「絶対に助けてください！僕たち皆、家族なんで！」と叫びます。

無線の相手が待つように促すと、「待てますけど…、石が飛んで来たり色々大変な状況なので、もうすごく怖いです…！」と答える様子が映し出されていました。

さらに男性は父親に電話をし、「パパ！今白根にいるんだけど、白根が噴火して僕らゴンドラに取り残されちゃってる」とし「真っ黒な灰になっちゃって大変なことになってる」と状況を説明。

さらに「パパ、愛してるよ！ありがとう！」と叫んで電話を切りました。

その後、ロープウェイは動き出し、無事に救助されました。