給食というのは、食文化を伝える食育という意味でも非常に重要です。もちろん、それは食の安全安心の上で成り立つものであるが、今回は食の安全性をないがしろにしたような悲しい事故が起きてしまいました。
大田区教育委員会や東京消防局により、6月6日午後1時25分頃、東京都大田区の松仙小学校から「給食後にアレルギー症状が起きた児童がいる」と119番に通報があるました。
児童の11人が体のかゆみなどを訴え、救急搬送されたことが分かりました。このほか、およそ20人の児童は気分が悪い、おなかが痛いなどと訴え、保健室で治療を受けたことが分かりました。教育委員会側は、給食に提供していた“ビワ”によるアレルギー症状が出たのではないかと見て、その原因を調べていることが分かりました。
実は、ビワの種にはシアン化合物が含まれています。シアン化合物は非常に毒性が強いものであり、一定量を摂取すると急性中毒症状として頭痛やめまい、嘔吐などの症状を引き起こす可能性があり、高濃度であれば死に至ることもあると言われています。
このような危険性について農水省はホームページ上で告知し、厚生労働省は取材に対して、「誤ってビワのたねを噛んでしまった場合、腹痛を引き起こす可能性がある」と回答していたことが分かりました。
ビワ生産が日本一の長崎県では、長崎市教育委員会によりビワアレルギーの実態を年1回調査しています。たねの危険性を考慮しながら、生で出すことを避け、ゼリーに加工したりして給食に出しているそうです。しかし、アレルギーの申告があった児童に対してはビワゼリーの提供も行っていないことが分かりました。
大田区教育委員会は今回の事故を受けて、その原因が特定されるまでは給食でのビワの提供を停止したことが分かりました。一方、世田谷区教育委員会は取材に対して、「大田区と情報共有をしていない。給食でビワの提供は引き続き行う」と回答していました。
また、担当者はビワの提供をストップした件については「食文化の伝承も大事だが、食の安全・安心が何より大事」と回答していました。
渋谷区教育委員会に関しては、「大田区の件を受け一時的にビワの提供を控えるが、ビワアレルギーの児童は一人もいない」と答え、ビワの種の危険性を認識していなかったことが伺えます。
ネットでは…
「何%の割合で、症状が出たのかがわからないが、強い症状が出るほどのびわアレルギーのある子供が、そんなに高く割合でいるものだろうか?」
「びわが原因とありますが、本当にびわなのか、生産者が行った時の消毒液の残留の結果なのか。今後調べる必要がありますね。」
「本当にビワが原因か明らかになるまでは報道すべきではないと思います。生産者に対する影響を考えて欲しいです。」
「アレルギーにしては人数が多い気がする。他の要因による食中毒の可能性は?ビワに風評被害が出ないことを願います。」