江頭2:50といえば、タイツ一枚で芸を行う危ういスタイルで伝説を次々に作るいろいろな意味で型破りな芸人さんです。ゴールデンタイムの番組よりかは深夜枠で活躍し、その危うさゆえに逮捕歴すらあるというとんでもない方ですが、2011年に発生した東日本大震災では自ら運転する2tトラックで被災地であった福島県いわき市に支援物資を運んだことで全国的な話題となりました。普段とのギャップから世間は大いに驚きました。

きっかけは被災地特集のテレビ番組

写真：niconico

写真：theconversation.com

江頭2:50さんが支援物資を運ぶように思い立つきっかけとなったのは、震災でインフラが損壊している被災地の様子を取り上げたテレビ番組だったと言います。

孤立し、支援物資が届かない状態にある様子を画面越しに見た江頭さんはふといわき市から声がするのを聞いたようです。
「エガちゃんの出番だよ」「エガちゃん待ってるよ」という声に突き動かされるように、江頭さんは行動を決めました。

写真：トラック王国

まず、2tトラックの手配をしたそうです。

それから、都内で支援物資をかき集めたと言いますが、震災直後の物資不足は何も東北に限った話ではなく、都内でもほとんど支援物資を集められなかったそうです。
どこもひとつかふたつしか譲ってくれない、と憤慨したと言います。2tトラックいっぱい、運べるだけ支援物資を運びたいと考えていた江頭さんに最初の壁が立ちはだかります。

写真：荒んでいく世界

そこで江頭さんは「コストコの一番上の人に電話した」と言います。
すると、コストコの責任者から「明日、あるだけの物資、持って行ってください」という返事を受け取ったそうです。

写真：NPO団体 zero dream

紙おむつやペーパータオルなど、生活必需品や水、食料などの支援物資を詰め込んだ2tトラックはいっぱいになり、江頭さんは自らの運転で北を目指しました。
これらの物資や2tトラックの用意に江頭さんは借金までしたそうです。

エガちゃんは笑顔も届けた

写真：高齢者住宅情報プラザTOP

福島県いわき市に到着した江頭さんは老人ホームへ向かいました。
物資を届けに来たことを伝えると本当に必要な物資であったことに何度も感謝されたと言います。

写真：Gooブログ

この支援活動に際して、当初正体を隠したまま支援物資を置いて来ようとした、と言います。

病院に到着し、支援物資を届けに来た旨を伝えた彼に看護師さんは「江頭さんですよね？」とその正体を一瞬で見抜いたと言います。

写真：マイナビニュース

そこで江頭さんは素性を隠すのをやめ、サングラスと帽子を脱いだそうです。
「バレた！　支援物資届けるの遅くなってごめんな！」とおどけたポーズをとったと言います。
その江頭さんを見て看護師さん、患者さんや被災者の方々はゲラゲラ笑い、和やかな空気が生まれたのです。

江頭さんはこの支援活動を大したことではないと言います。
他の芸能人は被災者への支援として莫大な金額を寄付している、ということに触れた江頭さんは、「俺には金が無いから、体で払ってきただけ」と笑って言いました。

写真：人生向上思考コンサルタント

莫大なお金を寄付できないから、自分の足を使ってできる限りの支援をしてきただけ、と謙遜して言うのです。
ましてや、何日も被災地で活動しているボランティアに比べたら何もしていないに等しいのだと、口にしています。

写真：ライブドアニュース

この活動はSNSを中心に広がり、やがて報道され被災地の現実を伝える一つの契機になりました。

まとめ

写真：DDN JAPAN

当時、まだ余震の続いていた被災地に乗り込み、手ずから支援活動を行った江頭さん。当時、行政の機能も一時的に麻痺し、全国から寄付金は集まってくるものの上手く分配できない、支援物資も物資不足の折、確保できていないという状態で支援物資を直接届けてくれたことはどれほど被災者の心を励ましたことでしょうか。物資と共に笑いを届けた優しさが、あの破天荒な芸風の後ろに隠れていることを私たちは忘れてはいけないのでしょう。point 271 | 1