新型コロナウイルスに感染した埼玉県内の80代男性が4月中旬、病院に入れずに自宅待機となっている間に急変し、搬送された病院で死亡したことが明らかになりました。
男性の遺族は、感染した男性が高齢者で重症化のリスクが非常に高いことからも早期の入院を望んでいたといいますが、埼玉県では当時、感染者約200人が入院待ちの状態だったといい、保健所から「重症者から入院させる。順番がある」と説明されていたとしています。
しかし、遺族は男性の症状が「しゃべれないほど重い状態だった。放置されたも同然だ」と県の対応について相応しくなかったと訴えており、批判しています。
遺族の証言によると、男性は80代の妻と2人暮らしだったといいます。
コロナが爆発的に流行りだした4月上旬から発熱やせきなどの症状があったため、念のため近所の病院を受診。
処方された解熱剤を飲むなどして自宅療養していたといいますが、同13日には症状が悪化して同県所沢市の病院に救急搬送されることに。
しかし、入院の必要はないと医師から判断され、PCR検査（遺伝子検査）を受けて帰宅したといいます。
その後、男性は15日に狭山保健所（同県狭山市）から電話で陽性を告げられ、遺族の証言からも重症だったといいますが、保健所からは「重症者を優先して入院させている」などと返され、入院はできないまま…。
妻は「頼むから早く入院させてほしい」と依頼し続けましたが、夜に再び保健所から「病院は見つからなかった」と連絡があったといいます。
男性は自宅療養をしていましたが、同16日には呼吸困難となり、再び所沢市の病院に救急搬送されることとなりましたが、重篤な状態だったためその日のうちにより高度な治療ができる県内の別の病院に運ばれたといいます。
その後、集中治療室で人工呼吸器を付けたが27日に亡くなりました。
厚生労働省の発表によると、高齢の感染者は原則入院との指針を示しており、
埼玉県は男性の陽性が確認された4月15日時点では「感染者は全員入院させる」と決めていました。
しかし、当時、入院先が調整できない自宅待機者が207人おり、順番待ちの状態だったのです。
保健所はその間、電話問診で症状を把握し、必要があれば医療機関につなぐ態勢をとっていたといいます。
男性の長男（55）は、死亡した男性の症状が重症だったにも関わらず入院もできず自宅療養を要請されたことを受け、「無責任」だと批判。
男性の孫（24）も「最初の救急搬送の翌日に祖父に電話したが、せきがひどくて話もできない状態で、食事も取れていなかった。保健所の判断には疑問がある。もっと対応が早ければ違ったのでは」と憤り、不信感を口にしました。
埼玉県の大野元裕知事は今月1日に男性の死亡の経緯を報道陣から質問され、
「陽性が判明したのは夕方で、夜に再び連絡した際は男性が就寝中だったため、翌朝に調整することになった。対応は適切だったと思う」と述べました。
結果的に男性は死亡してしまい、男性の妻もコロナに感染してしまったようです。
遺族のお願いの声も届かず、保健所や病院から「放置された」も同然だった対応。
病院や保健所の対応も不適切だと思われないような行動をとってほしいですね…。