食欲の秋といわれるゆえんの一つとして、秋は夏の栄養を葉から蓄えた果実が大きく実る時期でもあるからです。その秋に旬を迎える食材の一つとして年代問わずに人気なのがさつまいもです。さつまいもは1年中収穫が可能ですが、秋は夏の光合成によって得られた栄養によって糖分やうまみがあるのでとてもおいしくなります。そのさつまいもの調理法としておいしいのが天ぷらですが、ただお店で食べる天ぷらはおいしいが自宅で食べるのはあまりおいしくないと思う人が多いです。
なぜ自宅で食べるさつまいもの天ぷらはおいしくないのか
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なぜ自宅で食べるさつまいもの天ぷらはおいしくないのか、それはさつまいもの特徴を理解していないために起こることです。一般的なおいしくないさつまいもの天ぷらの印象は衣が固いだけでなく、さつまいもを噛んでみると固く水っぽくて甘みがあまりない状態です。そのような状態になるのはさつまいもは見た目とは裏腹に水分が多い食材だからです。さつまいもは水分がでんぷん質の層に覆われており、その中に栄養や甘みが含まれています。ただでんぷん質の層は固く、しっかりと火を通さないと層を壊すことができないため中身が閉じたままです。
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それなのに天ぷらはサクサクした味わいがおいしいと思う印象が先立ってしまい、一般的な揚げ方である170度から180度の温度まで上げて揚げてしまいます。高温で揚げてしまうと衣は早く上がりますが、さつまいもの中身は衣によって覆われているので外と中では温度差が生まれてしまいます。そのため外は早くに揚がるが中身はまだ生という状態になってしまいます。それでは固いだけでなく水分が多い生っぽく甘みも少ない状態になるのです。しかし中身が生だからと言って、外が揚がっているのにそのままの状態にすると衣が揚がりすぎてしまい焦げてしまいます。それによって今度は中身は火が通っていますが衣が揚がりすぎてしまい固くなるのです。
自宅でおいしく揚げるためのコツ
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自宅で食べるのはおいしくないのにお店で食べるとおいしい理由は温度調節をしっかりできているからです。お店の場合でさつまいもを揚げるときには切り方を変えているということもあります。しかしお店では油の温度を測ることのできる温度計を使ったり、フライヤーのように機械で揚げることによって設定で温度調節をしているからです。温度調節がしっかりできればさつまいもがおいしく揚げられる温度を維持できるのでおいしくなるのです。この温度調節ができるかどうかが差として現れることであり、この差を埋めることができれば家でも十分においしい天ぷらを揚げることができます。もちろん現在では市販品で油の温度を測ることのできる温度計やコンロが温度設定できるタイプもあるので活用するとよいです。
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そしてさつまいもを揚げる時に守ってほしいのが、様々な食材を揚げるよりも一番最初に揚げることです。先に言った通りに一番の失敗は中身と外側で温度が違うのに、外だけが上がって中身だけが揚がってしまうことです。さつまいもは温度が上がれば上がるほど中身の酵素が働いて甘みが広がりおいしくなるので、酵素が働く時間が長ければ長いほどおいしい状態に近づけます。そこで様々な食材を揚げるよりも一番最初に揚げることによって、油の温度を揚げる段階で入れれば低温から調理が可能となります。そして徐々に温度を上げていけば長時間酵素が働く時間を作れるのでおいしく揚がります。
まとめ
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天ぷらは衣をつけて揚げるだけと思う料理ですが、実はおいしく揚げるというのは言葉では簡単に言えますが実際に行うのは難しいです。それはどの食材にも言えることですが、適切な温度というのは食材によって変わるのでタイミングがわかっていないとおいしくならないのです。根菜類の場合は最初に揚げることも手段ですが、手間を省く観点から一度電子レンジで加熱してから揚げることも中身と外側の温度差をなくすことができるのでお勧めの方法です。