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私たちに衝撃を与えた尼崎事件。この複雑すぎる相関図について改めて考えてみましょう。この事件の主犯格とされている人物は角田美代子被告は、少なくとも25年以上の時間、兵庫県尼崎市南東部で血縁関係のない人物を集め生活していたことがわかっています。偽物の家族を築き、共同生活を行っていた時点でもちょっと違和感を覚えるのですが、この事件は長い期間、誰にも知られずに来たことに恐怖を感じます。
1987年頃、角田美代子被告と同居していた女性が失踪したことを発端に、複数の不審死や失踪事件が発生したのに関わらず、長年表に出ることはありませんでした。しかし、2011年11月にXらによって監禁されていた40代女性が逃げ出し、警察に駆け込んだことによって事件が発覚。最初はその女性に対する傷害事件として扱われ逮捕されたのですが、調査していくうちに多数の死亡事件にも関与していたことがわかり、一連の事件が世の中に知れ渡ることになったのです。
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この事件の複雑さは相当なもので、相関図にしても理解しにくい部分が多いのが特徴です。まずは時系列にして一度整理してみましょう。
・1987年頃に尼崎梶ヶ島の民家で済んでいた87歳の女性が行方不明になりました。
・その後、民家の地代の支払いがこの87歳の女性の次男ではなく、孫娘と名乗る女性に変更されました。この女性が角田美代子被告。
・2011年11月7日に尼崎市の倉庫で大江和子さんの遺体を発見。コンクリート詰めにされたドラム缶の中から発見されました。
・2011年11月26日に県警によって遺体遺棄容疑として角田美代子氏を含む男女5人を逮捕。
・2012年角田美代子被告を含む4人を殺人、監禁容疑で再逮捕。
・2012年8月に87歳女性の長男である人物の貯金口座から預金を引き出したとして、角田美代子被告の義理の娘、孫の2人を逮捕。
・2012年10月14日に、自宅を捜索したところ2人の遺体を発見しました。
・2012年12月12日に、角田美代子被告は留置所で自殺をしてしまい、真相は闇の中へと消えてしまいました。
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尼崎事件の一番厄介なところは、登場人物が多すぎるということにあります。複雑に絡み合う関係性によって事件をより複雑にしています。まずは、それぞれの関係者について整理してみましょう。
●大江家
2011年にコンクリート詰めされた遺体が発見された大江和子さんですが、その長女と次女、次女の元夫は角田美代子被告の手先であったことがわかっています。大江和子さんの元夫と角田美代子被告の間で起こったトラブルから始まります。気付けば家族の中に入り込み、元夫と離婚するように仕向け、離婚をした後は次女と元夫の娘を引き取り、手なずけていくのです。元夫婦を呼び出しては金を奪い、長女と次女に対してはマインドコントロールを行っていきます。
●皆吉家
父親と母親(87歳)、長男(69歳)、長女、次男、次女(60歳)の家族がいました。長男以外は全員死亡しています。母親と次女は行方不明、長男は李正則受刑者の母親の再婚相手でした。この皆吉家の家に谷本家の2人の遺体がありました。李正則受刑者と角田美代子被告が知り合ったのは、金の貸し借りによるものだったと言われています。覚せい剤の常習犯でもあった李正則受刑者が出所する際に身元引受人として名乗りをあげたのが角田美代子被告であり、それに恩義を感じ、角田美代子の右腕になったと言われています。
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●谷本家
この谷本家の母親は、皆吉家の長女であり、父親と2人の娘、そして父親の兄と暮らしている家でした。母親は尼崎の路上で倒れたまま死亡しています。父親の兄と長女は遺体で発見されました。次女は角田美代子被告の長男と結婚し、角田美代子被告の連絡係。そもそも谷本家と角田美代子被告の接点は、実家である皆吉家から甥っ子を預かってほしいと頼まれたことに始まります。甥っ子こそ、角田美代子被告のいとこにあたる李正則受刑者です。李正則受刑者の扱いに対してトラブルになり、谷本家は4000万円ものお金を角田美代子被告によって奪われました。
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●橋本家
母親と長女は失踪し、長男は沖縄で転落死をしています。次男は行方不明。この一家は30ねん以上も前に角田美代子被告と暮らし始め、25年前に突然母親が失踪しました。その10年後には長女も失踪。2005年には、角田美代子被告ら8人の集団と沖縄を訪ねた際に、長男が崖から転落。2009年には次男も行方不明となっています。長男の妻である三枝子被告は、角田美代子被告が横浜で経営していたバーの従業員として働いており、角田美代子のサポートをしていた人物と言われています。三枝子被告は1988年に角田美代子被告の母親と縁組し、長男が死亡した際の保険金と名義のマンションを受け継いでいます。
このようにたくさんの登場人物が出てくる上に、消息不明な人が多いのが特徴です。