どの国でも止まらない乳幼児虐待問題。今回はイギリスで肋骨骨折という重傷につき、わずか生後2ヶ月で赤ちゃんが亡くなってしまいました。”不慮の事故”という主張を貫いていた両親でしたが、法廷で語られた犯行動機は、大変ショッキングで身勝手なものだったのです。
性行為の途中で
英国スタッフォードシャー州のバーントウッドで2014年4月、肋骨骨折の重傷を負った生後2ヶ月の男の乳児が搬送先の病院で死亡しました。「自宅内の不慮の事故だった」と主張し、わが子の死に嘆き悲しんでみせた両親。彼らは翌月に育児怠慢に関して有罪判決を受けましたが、処罰自体は軽いものだったのです。
ところがその後、奇妙な情報が検察に寄せられるようになったというのです。近隣住民はこの家庭について金切り声や悲鳴を耳にしており、2人が「酒を飲んで口論していた」ことがわかってきたのです。さらに赤ちゃんの腕に噛まれたような傷があったことや、救急車を要請する前に1時間にわたる躊躇があったことを突き止め、検察は殺人の容疑でこの両親を追訴しました。このほどその裁判が結審。事件から5年を経て両親は断罪され、2人の身柄は刑務所へと送られました。26歳の父親が懲役8年、22歳の母親が同5年だといいます。
事件の直前、この夫婦は性行為の最中でした。父親は法廷で「イイところなのに泣き出したため、カッとなって息子に暴力をふるい、胸を押しつぶした」と語り、世間を唖然とさせました。夫婦にしてみれば、そういうタイミングの悪さにはガックリとくるものです。しかし普通は、わが子が常に最優先。泣くのが仕事という小さな乳児に激怒などするものでしょうか。
理性も命も失う
孫の誕生をそれは喜んでいたという赤ちゃんの祖父母。彼らは悲しみをこらえながら、「孫の死を知ったあの日は、人生最悪の1日でした」「なぜそんな惨たらしいことが起きてしまったのか、理解できません」「それでもあの子は、いつまでも私たちの心の中に生き続けることでしょう」「家族として人生をやり直す時間、そして癒しの時間が今はとにかく必要です」という声明を発表しました。
今回の件に限らず「お酒に酔ったときの姿に人間の本性が出ると思う」と考える人の割合は少なくはありません。この事件の男女も当時アルコールのせいで理性を失い、気性が荒くなっていた可能性が十分に考えられます。酒は飲んでも飲まれるな、と昔から言われますが、深酒して罪を犯すほど愚かなことはないでしょう。小さな無抵抗の命がこんな理由で奪われていいはずがないのですから。