6月1日、「息子を刺した」と長男・英一郎を殺害したと自ら110番して逮捕された元農林水産事務次官、熊沢英昭容疑者(76)。死亡した長男は、ひきこもっていたゲーマーで、3万を超える投稿をツイッターに残し、事務次官である父についても度々自慢していたといいます。
彼のアカウントの名前は、「ドラクエ10ステラ神DQX(熊澤英一郎)」という実名入りアカウントで、2011年7月からはじまり、3万6840件ものツイートをしており、その中には、「あの、本名、熊澤英一郎と申しまして元事務次官の愚息であります。凄い人でしょ?w 国家レベルの人なんですw」と父親をほのめかし自慢する様子や、「おいツイッター勢ナントカ? 私ステラのようなエリートと君達如きを同レベルにしないでくれw」と見下すような選民的な内容もツイートもしていました。
またその父親を自慢する様子とは裏腹に、母親に対しては、「愚母はエルガイムMK-Ⅱを壊した大罪人だ(※)。万死に値する。いいか?1万回死んでようやく貴様の罪は償われるのだ。自分の犯した罪の大きさを思い知れ。貴様の葬式では遺影に灰を投げつけてやる。」という内容や、「何が産んでくれた?勝手に親の都合で産んだんだから死ぬ最期の1秒まで子供に責任を持てと言いたいんだ私は。」といった内容をツイートしていた。
ツイートを見ると分かるように、英一郎さんはオンラインゲーム「ドラゴンクエスト10」にハマっており、ゲームで約32万円の課金をされたともツイートしていましたが、父親に刺された時も、ドラクエにログインしたままだったそうです。最後のツイートは6月1日11:20で、いつものようにゲームをしながらツイートしていたのだと考えられていますが、その約4時間後に父親が「刺した」と通報したのです。
この話しを聞いて、英一郎さんをゲームにハマってひきこもったり暴力をふるうようになったのではないということが、「長男の暴力は中学生から」という熊澤容疑者の供述が報道されているから分かり、むしろ、ゲームは彼の唯一の“他人との接点”だったかもしれません。今回の事件で、またもゲーマー→引きこもり→危ないヤツ、というイメージが強化された気がしますが、実際には引きこもりを占めるゲーマーの割合は少数派です。
引きこもりについて調べる専門家は以下のように語っています。
「部屋に籠ってネットやゲームに没頭している印象を持たれがちですが、それは実は少数派。ひきこもっている人は自責的になっており、自分には娯楽を楽しむ資格はないという思いがあるようです」
ゲームと引きこもりという繋がりが強く印象付けられることにもなったしまった今回の事件ですが、実際はそんなに短絡的な構図ではなく、問題はもっと根深いと思います。