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ビルの壁一面を使ったアート作品「440足のハイヒール」に込めた悲痛な思い…数字が意味するのは!?


ビルの壁に飾られたハイヒールは440足。トルコの最大都市イスタンブールで、中心部のビルの壁面に440足のハイヒールが飾られています。この「440」の数字を意味するのは昨年、トルコで男性によって殺害された女性の数。男性優位の考え方が色濃く残るトルコでは女性への暴力が問題になっており、芸術家が作品を通じて警鐘を鳴らしています。

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ハイヒールは高さ約17メートル、幅約8メートルの二つの壁面にかけられており、足を止めてスマートフォンで撮影する通行人も多いようです。この作品は、トルコのアーティスト・ヴァヒット・ツナ氏が製作。アートプロジェクトの一環として期間限定で展示されています。

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プロジェクト公式サイトによると、作品は、トルコの一部地域で亡くなった人の靴を家のドアなどにかけるという風習を模しているといいます。

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ハフポスト

展示を手がけたイスタンブール在住の現代芸術家ワーヒット・トゥナさん(48)は「大部分の女性殺人の被害者は、世の中に知られることなく忘れられていく。声なき声がどれだけあるかを感じてほしい」と話し、自身のインスタグラムも作品の写真をあげ「トルコで起きている男性によるDVへの注目・関心を高めるため、ビルの壁に展示している」と説明しています。point 288 | 1

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中東の地域大国トルコでは、女性に対する男性の暴力が深刻な社会問題となっており、トルコ社会は男性優位。一方で、暴力をなくしたいと、ソーシャルメディアなどを通じて声を上げる地元女性が増えてきています。

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8月には母親(38)が娘(10)の目の前で、元夫(43)に刃物で首を刺されて殺害される恐ろしい事件が起きました。血まみれの母親が娘に「死にたくない」と叫ぶ動画がネット上で流れ、国中の関心が集まり話題となりました。

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トルコ政府は各地に女性保護シェルターを設置するなど、対策を進めてはいるようですが、ただ「十分でない」との声が女性団体から上がっています。

同国の女性権利団体「女性殺人を止めるプラットフォーム」によると、男性によって殺害された女性の数は2011年に121人でしたが、年々増えて18年には440人に。加害者は元夫や親族の男性などによる殺害が目立つといいます。

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TRT

昨年、カディルハス大学の世論調査によると、トルコ社会で女性が直面する最大の問題について、「暴力」が半数以上の61%を挙げ、「失業」「教育の欠如」はいずれも9%と大きい差を出しました。世界経済フォーラムによる男女平等ランキングでトルコは149カ国中130位にとどまっています。

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時間がかかる問題かもしれませんが、少しでも女性が安心して暮らせる社会になるよう早く改善していくことを願うばかりです。

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