世界中のアニメファンらに 衝撃を与えた京都アニメーション放火殺人事件で、京都府警は27日、全身やけどで 一時は瀕死の状態だった青葉真司容疑者(42)の逮捕に踏み切りました。発生から10か月余り。殺人事件としては平成以降、最多の36人が犠牲となった事件の取り調べは、異例ずくめの形で始まりました。
やけどは全身の9割超、死亡率は「95 % 超」…「救命は難しいかもしれない」と感じ
「青葉容疑者の治療に力を尽くしたのは、被害者と真相解明のためだ。罪に向き合ってほしい」。近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)で約4か月、治療にあたった医師の一人が 取材に経緯を語ったという。
熱傷患者の専門治療ができる同病院に、容疑者がヘリで搬送されてきたのは事件2日後の昨年7月20日。やけどは全身の9割超に及び、最初に搬送された京都市内の病院では手に負えませんでした。当時の症状から計算した死亡率は「95 % 超」。医師は「救命は難しいかもしれない」と感じたそうです。
実施したのは「自家培養皮膚移植」と呼ばれる治療法。焼けずに残った部分の皮膚の細胞を培養で増やしてシート状にし、やけどした部分に移植します。培養に3~4週間かかるため、この間の全身管理が難しいという。皮膚の機能がなくなると体内の水分が失われるほか、感染症にかかりやすく、死亡リスクもあります。
青葉容疑者は、事件時に身に着けていたかばんのひもの下や、足の付け根などに、わずかに正常な皮膚が残っていました。数センチ角の皮膚を切り取り、専門の業者に頼んで細胞を培養。その間、やけどの激しい部分の皮膚を取り除いては、動物のコラーゲンでできた「人工真皮」を貼り付ける手術を繰り返しました。
8月中旬に1回目の培養皮膚移植を実施。体の表面の20%程度が覆われると、血圧など全身状態が徐々に改善しました。3回目の移植で 救命のめどが立ち、移植は9月中旬、5回目で終わりました。10月上旬には 呼吸管理のための管を抜き、会話もできるようになりました。
父親が自殺後、窃盗や強盗事件で服役に…「どうせ死刑だから」「私たちは懸命に治療した。君も罪に向き合って…」
青葉容疑者は 現在のさいたま市で生まれ、定時制高校を卒業後は アルバイトを転々としました。21歳の頃に 父親が職を失って自殺後、窃盗事件や コンビニ強盗事件を起こしていました。
服役中は刑務官に繰り返し暴言を吐いたり、騒いだりし、精神疾患と診断されました。出所後は、生活保護を受給しながら、さいたま市のアパートで暮らしていましたが、音楽を大音量で流すなどの奇行が目立ち、住民とトラブルにもなっていました。
青葉容疑者は近大病院でのリハビリ中、「意味がない」「どうせ死刑だから」「(自分は)意味のない命」などと投げやりな態度を見せたという。食べ物の好き嫌いも激しく、病院食を拒むことも多かったそうです。
しかし、この医師が「私たちは懸命に治療した。君も罪に向き合いなさい」と繰り返し諭し、リハビリをさせると、次第に態度の変化も見られたそうです。
昨年11月の転院時、青葉容疑者は医師に「他人の私を、全力で治そうとする人がいるとは思わなかった」と漏らしたという。
やった事は許されないが、成長していく過程で愛情を受けていれば…死亡率95%の熱傷患者救命、本当に大変だったろう…
今回のこの報道にも多くのコメントが寄せられていますが…
《医療関係者には頭が下がります。この男に問題があるのは間違いないし、やった事は許されないが、成長していく過程で愛情を受けていればこうはならなかったのかなとも考える。「こんなに人に優しくされたのは初めて」って言葉が印象的。せめて、本音であって欲しい。助けて頂いた命、今後この男がどう向き合うのか。》
《昔、救急医でした。死亡率95%の熱傷患者を救命するなんて、本当に大変だったろうし、すばらしい仕事です。敬意を表します。複雑な思いが皆さんあるのは当然ですが、昔の自分は患者さんの背景などは一切気にしていなかった。ただ、目の前の患者に最善の治療をすることに集中していた。こう言うと、かっこよく聞こえるかもしれないですが、そうしないと心が折れてしまうからでした。本当に助かってほしい人でも亡くなるし、いろんなものを犠牲にして治療にあたっても、家族から非難されることもある。だから、何も考えず、ただ、最善の治療をする。大統領も犯罪者もない。感謝されなくても、非難されても。でも、感謝されれば、褒められれば、やっぱりうれしい。だから、繰り返します。死亡率95%の熱傷患者の救命なんて、救急医でもめったにあることじゃないです。本当に素晴らしい。Good job!》
《こういう事件がある度に犯人の人生環境が恵まれていなかった事が知らされとても複雑な思いになる。これまでの人生で人の優しさを感じたことがなく人や社会を恨んでいたのであれば今回皮肉にも人の温かみを初めて知り感情に変化がもたらされるのではと期待します。》
等など、愛情に恵まれない環境で育った青葉容疑者に対して複雑な思いを語るコメントや、救急医出会った経験を語るコメントを含め 多くの関心がよせられているようでした。