沼津市の会員制高級リゾートホテル「淡島ホテル」が２０日、静岡地裁沼津支部から破産手続きの開始決定を受けたことが分かりました。負債総額は数百億円とみられており、今回の開始決定は、ホテル会員権を購入した一部債権者が７月に申し立てていたそうです。
この「淡島ホテル」。人気アニメ、「ラブライブ！サンシャイン！！」の登場人物の実家が経営するホテルのモデルとなっています。
そのため、全国からファンが宿泊に訪れ、地域振興にもつながっている場所なのです。
訪日観光客の誘致促進を目指す「アニメツーリズム協会」は１０月２９日、国内外のアニメファンの投票を参考に選んだ「訪れてみたい日本のアニメ聖地８８（２０２０年版）」を発表。
この中に淡島ホテルがある沼津市も８８作品の９９カ所に選定されたばかりでした。
破産手続きの開始決定により、同社の管理処分権は同地裁支部が選任した破産管財人に委ねられることになります。破産管財人は今後、ホテルが所有する資産などの換価作業などを進めるとみられています。
同ホテルを巡っては、経営権を持つ名古屋市の家賃保証会社に対し、リゾートホテル会員権を購入した債権者が「預かり金や投資額が返済されない」などと主張。今年９月に債権者１００人超が弁済などを求めて債権者団体を結成していました。関係者によると、会員権を購入した全体の債権者数は千人以上に上るといいます。
同ホテルは１９９１年、旧東京相和銀行（現東京スター銀行）の故長田庄一元会長によって建設されました。今年９月に死去したフランスのシラク元大統領も訪れたことでも知られています。
しかし、赤字経営が続き、２０１８年４月、長田氏のファミリー企業がホテルの株式を家賃保証会社に譲渡。
債権者が企業の破産手続き開始を裁判所に申し立てて認められたケースとしては２０１０年、熱海市などで温泉ホテルを展開していた会員制リゾートクラブ「岡本倶楽部」などがあります。
当時、「岡本倶楽部」を運営していた「オー・エム・シー」は、同ホテルの会員権の管理・販売を手掛け、宿泊ポイントの付与や預託金の全額返還などを謳い会員を募っていましたが、約束されていた「未使用宿泊券の買取」や「預託金の返還」が滞るなど会員権販売に係る問題が表面化。そして、出資法違反の疑いによる警視庁の強制調査を受け信用が失墜。
すでに負債が資産を上回る債務超過に陥っており、予定通りの預託金返還が難しいことから、２０１０年６月１０日付で東京地方裁判所より破産手続の開始決定を受け倒産しました。
「淡島ホテル」も「岡本倶楽部」の二の舞となるのか。
「ラブライブ！サンシャイン！！」といえば、国内外問わずにファンの多いアニメ。聖地巡りを楽しむために沼津市に訪れる人が少なくなかったことから、関係者に波紋が広がりそうです。