パン作りといえば、一般的にはドライイーストを使用して発酵させることが多いですが、ドライイーストの代わりに天然酵母を使用して発酵させることも可能です。中でもりんご酵母は手作りすることもできる天然酵母なため、使い勝手が良いのでお勧めです。
そんなりんご酵母ですが、まずはリンゴを皮ごと適当なサイズにカットし、熱湯で洗浄した瓶の冷ました状態のものを用意し、そこに入れます。それとともに天然水を注いだら、しっかり蓋をして冷蔵庫に入れます。この時のポイントとして、使用する瓶は口が広いものの方がリンゴの出し入れの際に便利です。また使用する水についても水道水やアルカリイオン水などを使用するとりんご酵母はできなくなる可能性が高まるため、天然水を使用するようにしましょう。
そしてそのままの状態で二日もすると泡が出てくるので、そうしたら冷蔵庫から取り出して常温保存にしますが、常温保存にしたら一日一回ほどガス抜きのために蓋を開けましょう。これを繰り返して一週間もすると、泡の量が増えてきますので、それでりんご酵母が完成です。この状態で瓶の中の液体を飲んでみると、リンゴジュースのような味で刺激臭などもなく、リンゴの良い匂いがします。あとは種や実が入らないように注意して、液体の一部をコップへ少し移し、それと同じ分量ぐらいの強力粉と混ぜ合わせます。それをラップして輪ゴムで口部分をとめ、常温保存で二日ほどすると倍ぐらいに膨らみます。そこまで進んだら、次は本格的なパン生地作りとして出来上がった生地に強力粉や砂糖、塩や天然水、バターを混ぜてこね、再び常温保存しますが、今度は分量が増えているために大きめの容器で保存するようにしましょう。
こうしてリンゴ酵母で作ったパンは、一般的なドライイーストを使用したパンよりは、若干作りたての状態ではパサついているように感じなくもないですが、味については普通に美味しく食べることができます。さらにドライイーストの強めの匂いが一切なく、代わりにリンゴのさわやかな匂いがするので、むしろよりパンが美味しく感じることもありますし、作りたてではなく時間が経過したものについては、しっとりとした食感も生まれるので、作りたての状態とはまた違った美味しさを味わうことが可能です。
ちなみにリンゴ酵母の作り方にはいろいろな方法があり、この一例以外にも、リンゴの実は使用せずに皮のみを使用するといった方法もありますし、水については天然水の代わりに浄水器を通した水を使用しても問題ありません。他にもはちみつまたは砂糖を瓶に入れて甘味が増すように工夫したりするのも良いですし、一度作ったリンゴ酵母につぎ足しを続ければ、長く使用することも可能です。ただしつぎ足しについてはリンゴが綺麗な状態ならばそのままでも可能ですが、傷みが目で見てわかるような場合は、リンゴも新しいものに変更しましょう。さらに発酵が進行しすぎてアルコール臭がするような場合は、つぎ足しで元通りに戻りますが、面倒だからとそのままパンの酵母として使用してしまうと酸味が強くて失敗する可能性も高いので避けた方が無難です。もっともアルコールまで発酵が進んだものも、パン作りではなく料理の隠し味に使用するなどの場合は、とくに問題なく使用することができます。あとは使用するリンゴについてですが、出来れば無農薬の方が望ましいですが、そうでないリンゴもしっかり洗えば皮ごと使用しても大丈夫です。それでも温度管理などによってもうまくできるかどうかに差が生じますし、リンゴも青りんごなどの種類が異なるものを使用すれば、また出来上がりにも違いが生じることもあるので、まずは瓶に入れた状態でそれを冷蔵庫から取り出した時点で、白く濁ったり酸味のある刺激臭がしないかどうかを確認しましょう。もし濁っていたりツンとした刺激臭がある場合は、それは失敗したことになるので、使用しない方が安全です。