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    Categories: FOODLIFE

アメリカでは「hibachi」は火鉢ではなかった!ではhibachiは?


日本で「火鉢」というと、円形の大きな陶器が思い浮かびますね。中に灰が敷いてあって、その上で炭を燃やして部屋を暖める道具です。時代劇を見ていると室内のシーンにでよく出てきますし、骨董屋さんの店先などにも置いてあります。手の込んだ美しい模様が描かれているものも多く、最近では植木鉢のカバーに利用されたりもするそうです。

 


写真:heavy.com

アメリカには、「hibachi」という、日本から伝わった言葉があります。では、意味も日本の火鉢と同じものを指すのかと思ったら、実はアメリカの「hibachi」は、日本のものとはかなり違います。アメリカの「hibachi」が意味するものは、大きく分けて2つあります。その1つは、持ち運びできるバーベキュー用の小型グリル。アメリカでは、暖房のための道具ではなく、バーベキューなどを作る調理のための器具として使われているのです。point 279 | 1

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写真:blog.chefsarmoury.com

バーベキュー用の「hibachi」は、底に燃料を入れる部分があり、その上の網で肉や野菜を焼くという使い方をします。日本の火鉢も、やかんのお湯をわかしたり、お餅をあぶったりという使い方ができますが、それはあくまでサブの目的。アメリカの「hibachi」は、そもそも調理をメインの目的として作られている器具なのです。映画に出てくるような広い庭がなくても、テラスなどで手軽にバーベキューができるところがアメリカでも人気なのだとか。日本人がアメリカでバーベキューパーティーに招かれて、「これがhibachiだよ」と言われたら、「えっこれが火鉢?」と戸惑ってしまうことになりそうですね。point 368 | 1

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写真:kitchlit.com

このアメリカの「hibachi」は、日本の火鉢よりも、どちらかというと七輪のほうが近いでしょう。七輪は中に炭を入れて燃やし、上に網を掛けて魚など食べ物を焼く道具。今でも、こだわりのある和食店や炭火焼肉のお店で卓上調理器具として使われていますね。バーベキュー用のコンロが、どうしてアメリカでhibachiと称されるようになったかには色々な説があります。第二次世界大戦後に米兵が七輪や火鉢を持ち帰ったことから広まったとも、日本の業者がアメリカに売り込んだとも言われていますが、このとき七輪と火鉢が混同されて伝わってしまった、というのがひとつの説です。また、七輪という言葉の響きは英語で発音しにくいため、より発音しやすい火鉢からきた「hibachi」が定着していったとも言われています。point 411 | 1

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写真:tripadvisor.com

また、「hibachi」には、もう1つ違った意味があります。それは、日本でいう鉄板焼き料理のこと。お客さんがカウンターに座り、前にある鉄板で調理人が肉や魚介類、野菜などを焼いて振舞う形式の料理です。アメリカでもこの鉄板焼きスタイルのお店は人気で、派手な演出を好むアメリカ人のために、火柱を高く上げながら焼くパフォーマンスも広く行われています。鉄板焼きを指す言葉としては、「teppanyaki」が定着していますが、「hibachi restaurant」という言い方も同じように使われているのです。外国人向けの日本のレストランガイドなどを見ると、「teppanyaki」と「hibachi restaurant」は、同一のカテゴリーとして紹介されています。point 402 | 1

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写真:tripadvisor.co.kr

どうして鉄板焼きが「hibachi」と称されるようになったかも、はっきりとは分かっていません。アメリカの日本料理店が、なんとなく日本的なイメージの言葉として使うようになったとも言われています。最近では、アメリカだけではなくヨーロッパなど世界の色々な国に「hibachi」という言葉が伝わっています。好きな日本料理として、「hibachi料理」=鉄板焼きを挙げる外国人も多いようです。

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