去年の6月頃に、米フロリダ州で犬の散歩をしていた日本人女性が、ワニに襲われ死亡した事故がありましたが、同州にはワニが数多く生息しており、人間の生活圏内で共存しているため被害も多く確認されています。そんな中、8月2日にもワニに襲われた愛犬を救おうと飼い主の男性が負傷しながらも無事に救出したというニュースが飛び込んできまいした。
アメリカの週刊誌『Newsweek』や情報サイト『MySuncoast.
com』によると、フロリダ州ノコミスのマーガレット・ドライブにある運河沿いの居住地で、先月2日の午後11時頃に体長約3メートルのワニが捕獲されました。このワニが捕獲される6時間前、付近に住んでいた、男性の自宅近くに流れている運河の方から、飼っているラブラドール・レトリバーの大きな鳴き声が聞こえてきたといいます。その鳴き声があまりにも悲痛な叫びだったという男性は、家を慌てて飛び出して犬の元へ駆けつけます。すると、目の前でワニが犬に噛みついていたのです。男性は戸惑うことなく運河に飛び込み、ワニの顎をこじ開けようと奮闘。そのおかげでなんとか犬と男性はワニから逃れることが出来、男性は犬を安全な場所まで運んだそうです。
しかし、興奮状態のワニと戦った際に男性は負傷してしまっていましたが、犬も噛まれて怪我をしていたため、自分の怪我の治療よりも先に動物病院に向かったといいます。犬はすぐに獣医のもと治療を受けて軽傷で済み、幸いなことに男性も大きな怪我ではなかったそうです。このワニは、同じ居住地に住む女性も数日前に自宅裏の運河で目撃していたことがわかっていて、女性はワニが侵入して来ないように塀を建てていたとのことです。
後にワニ・ホットラインへと通報されると、フロリダ州魚類・野生生物保護委員会(FWC)の職員らによってワニは無事捕獲されました。しかし、ワニによる被害が多発しているものの、生態系においてワニは必要な存在でもあるため、FWCでは「ワニとともに暮らす」といった共存をアピールするポスターや冊子を街に配布しているそうです。また、フロリダ州67郡全ての地域にワニは生息しているとのことですが、人口増加にともなって昨今はウォーターフロントの家を求める人が増えており、そのためこの地域で事故が多発しているのではということです。
今回のように、生活圏内でワニに遭遇することも珍しくないことから、FWCは「ワニに餌を与えない。指定されたエリア以外では遊泳しない。水辺ではペットは必ずリードをつけて散歩するように」と注意を呼びかけています。男性が愛犬のために自分の身を呈して守り抜いたという感動的なニュースに、ネット上では「自分だったらできない」「この人に勇気に拍手」「2人とも無事でよかった」などと賞賛する声が寄せられています。