竹田城とは別名天空の城とか日本のマチュピチュとも呼ばれている観光名所です。場所は兵庫県の朝来市にあります。
写真:thejetcoaster.com
一体どうして天空の城とかマチュピチュと呼ばれるのかというと、もちろん山城であることもその理由の一つです。平地に築かれたような城ではこう呼ばれるはずがありません。確かに竹田城は古城山と呼ばれる山の山頂に築かれた山城であり、それがこのように呼ばれる理由の一つであることは間違いありません。
日本には山城はそれこそいくらでもある?
写真:takedacastle.jp
しかし、日本には山城はそれこそいくらでもあります。そして、古城山の標高もせいぜい350メートル程度に過ぎません。これよりも標高の高いところ、より天空に近いところに築かれた山城も他にいくらでもあるでしょう。城そのものの規模や遺構が目を見張るほどに大規模なのかというと決してそうでもありません。そもそも竹田城で残っているのは石垣だけであり、天守閣はもちろんのこと櫓などの建物も何一つ残されていません。
一定の気象条件が揃えばОK?
写真:Naver
標高が特に高いわけでもなく、現在残されている城が特別に目を見張るようなものでもないのに、どうして天空の城とか日本のマチュピチュなどという名前がついているのでしょうか。それは、一定の気象条件が揃ったとき、城の周りに雲海が立ち込め、まるで城全体が天空に浮かんでいるかのように見えることから名付けられたのです。実際の標高など何の関係もなく、周囲の雲海により雲の上に浮かんでいるように見えることが最も大きな理由です。
写真:ピクスポット
さらに、天守閣や櫓などが全く残されておらずただ石垣のみが連なっていることも、この幻想的な雰囲気の中ではむしろプラス方向に働いていることも決して見逃せません。
雲海は気象現象
写真:flickr.com
ただ、雲海は気象現象ですから、いつでもこの情景が見られるわけではありません。というか、ピンポイント的にしか見られないといったほうが間違いがないでしょう。気象用語で言えば雲海とはつまり霧です。湿度の高い大気が何らかの理由で冷やされて飽和状態になった際に生じるもので、可能性としてはもちろんいつでもあり得るわけですが、多くみられるのは秋から冬にかけての早朝の時間帯です。
写真:Hotel IKUE
ちなみに、本当に絵に描いたような雲海に浮かぶ天空の城という情景を見たいのなら、竹田城そのものに行ってはあまり意味がありません。遠くから眺めて初めてそのような情景が見えるのです。実はそのためのスポットもあります。竹田城から円山川を挟んで対岸にその名も立雲の郷と呼ばれる場所があり、そこからだと条件さえ良ければ綺麗に見ることができます。