夫婦喧嘩
夫婦喧嘩なんてよくあることですよね。目にした事もあれば、聞く事も多々あるし、自分もしょっちゅうですという方もいると思います。日常にあるべき普通のことで、喧嘩の後は、どちらともなく謝ったり、いつの間にか仲直りとか終わり方も色々あります。そんな当たり前の夫婦喧嘩が思いもよらぬ結末を生むなんて誰も想像していないでしょう。今回紹介する、ある夫婦もそのうちの1組でした。
出来ない仲直り
その日、早朝のこと、ご主人様と奥さまは、ちょっとした些細な出来事で、口論をしてしまいました。何処のご家庭でもよくある出来事にすぎません。しかし、奥さまはその日、喧嘩したことがずっと気になっていました。何故か胸騒ぎが収まらなかったのです。そんな事は、これまで一度もありませんでした。いつもの夫婦喧嘩にすぎないのに、何故こんなに気になるのか不思議な気持ちだった奥さま。その奥さまの元に、1本の電話がかかってきました。
警察からの電話で、ご主人が交通事故死してしまったことを知らせたのです。奥さまは、驚きのあまりその場に座り込んでしまいました。こんなことがあるのかと。奥さまはすぐに警察に向かい、ご主人の遺体を確認後、ご主人の運転していた自動車のところへと行きました。
奥さまの頭の中は、真っ白でした。突然の出来事に、考えが纏まるはずがありません。ご夫婦には、お子様が二人いらっしゃいましたので、今後の子育てなどが頭をよぎり、悲しみでいっぱいになったのです。奥さまは、ご主人の遺体がとても綺麗な状態だったので、今にも生き返りそうに感じました。そして、事故を起こしたご主人の自動車の中のものを見たとき、奥さまの両目から、それまで我慢していたかのように大量の涙が溢れ出ました。
なんと、自動車の中に、ケーキがあったのです。潰れていましたが、奥さまの誕生日を祝うケーキだったのです。そこで奥さまは気が付きました。子育ての多忙さ故、自分の誕生日であることを忘れていたことを思い出したのです。何と言うことでしょう。自分の誕生日を知らずに、夫婦喧嘩をふっかけてしまったのです。それなのに、ご主人は仲直りするべく奥さまの為にケーキを買って、その帰宅途中に事故で亡くなってしまったのです。
「いつも」を大切に
悲しみと後悔が奥さまを襲いました。しかし、一緒に居た息子さんに「パパ、いなくなったの?」「ママは、僕が守っていくよ」という言葉をかけられ、ご主人が居なくなった今、この子のために強く生きていこうと決心をしたそうです。
このエピソードに「夫婦喧嘩したまま、あの世に逝かれてはツラいよね。」「ご主人は、きっと、天国で笑って許してくれてるよ。」「悲しみから立ち直るのに時間がかかる。頑張れ!」「突然の死で、辛い気持ちは理解します。子供と強く生きて!」と、ネットでは励ましの声が多数寄せられました。
「いつも」の夫婦喧嘩ですが、「いつも」何があってもおかしくない状態で私たちは生きています。誰に対しても後悔しないよう、その「いつも」という瞬間を大事にして生きていかなければなりません。
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